やまだ・ひろひで
パイロット会計事務所代表、公認会計士・税理士。1982年生まれ。東京都出身。早稲田大学商学部卒。2010年アーク監査法人(現・明治アーク監査法人)入所、不動産会社・証券会社を中心とした会計監査実務に従事。その後、相続税申告・不動産税務に精通した税理士法人東京シティ税理士事務所にて個人向け相続対策・申告実務に従事。15年、不動産に特化したパイロット会計事務所を設立。不動産を買う・売る・相続するときの税金・資金繰りを専門とする。公認会計士の立場で不動産と接するなか、一般人と業界関係者の力に、圧倒的な差異が温存されている現状に警鐘を鳴らすとともに、インターネットの力で変革が始まる直前でもあることを主張。各地で講演を行っている

 不動産仲介をするための資格である「宅地建物取引士資格試験」、通称「宅建」の合格者は、平成27年4月1日より「宅地建物取引主任者」から「宅地建物取引士」へと名称が変更された。弁護士や税理士などと同じ、士業へと仲間入りしたわけだ。

 しかし先述した仲介の報酬額は、同じく士業である公認会計士の私から見ても、高すぎるという印象がある。他の士業と報酬を比較してみよう。

 いま現在、税理士や司法書士、不動産鑑定士はその報酬を自由に決めることができ、専門家ごとにその額には幅がある。もちろん他の士業や土地家屋調査士の報酬は状況によるものだし、弁護士報酬もクライアントや事件内容によって大きく変わるものだろうから、直接的に比較対象にはできない。

 しかし私の認識として、土地家屋調査士がマイホーム用の土地を測量したとして、その費用は高くとも100万円くらいまでには収まるはずだし、弁護士報酬は経済的利益のおおむね3%から、高くとも8%前後くらいまでの間に収まるはずだ。

 だからこそ、こうして比較してみると、宅地建物取引士の報酬の高さが際立つ。士業が得る報酬額の認識として、「物件価格×3%+6万円」は「破格」とまで言える価格で、桁を間違えているのでは、という印象すら私は覚える。とりあえず現状の不動産の仲介手数料は、ほぼ「弁護士報酬並み」と言えるだろう。

高すぎる仲介手数料はあくまで「上限」
本来は「話し合い」で決めるもの

「制度で決まっているから仕方ないじゃないか」とお考えになった読者もいるかもしれない。しかしそれは違う。むしろ消費者がこの高額なレートのまま、その報酬をそっくり払う義務はない。

 昭和45年10月23 日に行われた建設省(現国土交通省)の告示によって決まった報酬額は、「上限として『物件価格×3%+6万円』」。あくまで上限であり、これ以上の報酬を取れば罰せられる、というレッドゾーンが示されたに過ぎない。一般財団法人である不動産適正取引推進機構が発行する「不動産売買の手引」でも、報酬額に関し、「実際に支払う額はこの限度額(上限額)内で、話合いで決めるもの」と書いてある。つまり、大原則として「仲介手数料の額は話し合いで決める」ものなのだ。そして上限が決められていて、その上限を超えたときに罰則があるということだ。

 なお、一般財団法人土地総合研究所が全国の不動産業者を対象に実施した『不動産業についてのアンケート調査』報告書によれば、不動産仲介の手数料として「宅建業法令に基づく上限基準を適用している」との回答が83.8%、つまり8割強の不動産業者が上限いっぱいに仲介手数料を受領していることがわかる。だから不動産業者は、この上限報酬がさも法律で決まっているかのように説明するかもしれないが、それはとんでもない間違いだ。