常識を疑うところにビジネスチャンスあり!
先の例にとどまらず、よく「常識を疑うところにビジネスチャンスあり」ということが言われます。また、多数あるビジネスの思考法でも、常識を疑うことを重要な要素としているものは少なくありません。以下がその例です。
懐疑的思考(狭義のクリティカル・シンキング):健全な批判精神を持ち、物事を疑う
「Why」思考:「なぜそのようなやり方をしているのか?」などと問いかけることで、人々の常識にチャレンジする
AND思考:「なぜ両方同時にできないと考えるのか?暗黙の前提があるのでは?」などと考え、トレードオフを打破する
水平思考(クリエイティブ・シンキングの一部):皆が当たり前と考えている前提を疑う
ゼロベース思考:物事を与件なく考えてみる
実際に、こうした発想から生まれたヒット商品や新事業、新しい手法は少なくありません。
たとえば1000円カットのQBハウス(現在は税込み1080円)は、「床屋では散髪だけではなく、洗髪や髭そりをするのは当たり前」という常識を打ち破ることで生まれた事業とも言えます。
大ヒットしたダイソンの「羽無し扇風機」も、扇風機は羽根を回して風を起こすものだという常識を打ち破って開発されました。
いまでこそ普通に売られているリンスインシャンプーも、シャンプーとリンスでは化学的性質が違うため(シャンプーの分子はマイナスのイオン、リンスの分子はプラスのイオンであるため、普通に混ぜると中和されてしまい、シャンプーとしての機能もリンスとしての機能も失ってしまう)、一緒にするのは無理と思われていました。また、「たかだか数分の時間削減を求めるユーザーは少ない」という思い込みもありました。しかし、この常識を疑ったことで、リンスインシャンプーが実際に開発され、ユーザーを獲得したのです。
トヨタのリーン生産システムも、「仕掛在庫、部品在庫はある程度は持っておくべきもの」という常識を疑い、「在庫はなくすべきもの」という一見無謀な目標にチャレンジすることから生まれました。
もちろん、常識を疑う、あるいは常識を破ったら即成功が約束されるわけではありません。しかし、上記の例からも分かる通り、ライバルに差をつけ、ビジネスで成功するためには非常に有用な考え方であることが分かります。