1980年創業の印刷会社「バンフー」。2代目の犬養新嗣氏は、2013年3月に代表取締役に就任すると2期連続で大幅な増収増益を達成。飲食業向けの備品から印刷物まで全てを一括して提供できる通販サービス「atta」など、商業印刷を中心に様々な新規事業を展開する。印刷市場が縮小し続ける中、なぜバンフーは右肩上がりの成長を続けられるのか。その秘密を尋ねた。 (取材・文/西信好真)
ライバルは高級ホテル
想像超えたおもてなしを提供する
──単刀直入に聞きますが、急成長の背景には、何があるのでしょうか?
ビジネスに魔法や近道はなく、地道な積み重ねでしかありません。急成長したように見えますが、今までの経験や苦労があったからです。弊社の場合、まずは意識改革から始めました。「印刷業」ではなく「サービス業」に位置づけたのです。
──バンフーは印刷業ではなく、「サービス業」だと。
ええ。お客様に商品を提供している時点で、私はすべてサービス業だと思っています。例えば、受付担当なら印刷業界だけではなく、ザ・リッツ・カールトンさんのような高級ホテルの受付と勝負しないといけない。そういう意味でサービス業というくくりにして、視野を広く持つよう社員の意識付けをしています。日本人の性質としてホスピタリティは非常に大切にされます。そのため付加価値をサービスにできることは大きいのです。
人は自分の中にイメージを持っていて、そのイメージを超えたものに感動するのです。そして感動すると、お客様自身の口コミで広まっていく。自然と「営業」してくださるのです。例えば、ビジネスホテルにドアマンがいると思わないですよね。もし実際に、ドアマンのいるビジネスホテルがあったら人に言いたくなりませんか。
だから、サービス業としておもてなしの文化を磨き上げ、連鎖させれば、会社全体としてプラスの相乗効果はかなり大きくなると思います。