そこには、「気がきく」コミュニケーションの積み重ねがたくさんあります。

 シーズンごとに手書きのお手紙を送ったり、購入後しばらくしてから「いかがですか」とアフターフォローをして、その後の様子を聞いたりします。それも、大げさにすることなく、あくまでも控え目に上品な感じでお客様の負担にならないように「さりげない気遣い」を示すのです。

 さりげない気遣いや心配りは、世界が認める日本人の素晴らしい特質です。また、それらは、日本人のDNAに脈々と受け継がれてきたものです。

 こうして、お客様一人ひとりと信頼関係が築かれ、販売員の持つ人間味や人間力にひかれてファンになり、やがてはVIP顧客になっていくのです。ティファニーでは、「商品」と「お客様」ではなく、「販売員」と「お客様」、つまり「人」と「人」が結びついているのです。

 このように信頼関係を長く継続することで、10年以上もおつきあいのあるお客様や世代を超えたファンが生まれ、そのお客様がまたお友達を紹介してくれる、という良い流れが生まれるのです。お客様との良好な関係を築き、長く保つことこそがファンを増やすことにつながるのです。

 押し付けがましい人よりも、人の心の機微に触れることができて、優しく話を聞いてくれる人のほうが、一緒にいたいと思うものです。それに「自分もこういう人になりたい」――そう思える人と仲良くしたいはず。

 このように、ティファニーというブランドを、商品を通じて経験してもらうことで、販売員の個人のブランド力を高めていくことができます。

「Tiffany Experience(ティファニー・エクスペリエンス)」。これは、「ティファニーでの経験」を意味します。

 ティファニーの販売員は、お客様にティファニーにおいて「極上の体験」や「かけがえのない経験」をしていただき、「Tiffany Experience」の提供を通じて、お客様一人ひとりと深い関係を構築しているのです。

 ここまで、ティファニーの販売員の「個人ブランド力」について見てきました。いかがでしたでしょうか。これは、皆さんそれぞれの「立場」に置き換えても通用することだと思いませんか?

 営業職に就いている人を想像すると、わかりやすいかもしれませんね。