そこで、これまでふれてきた家事負担の「主に妻」の割合と夫婦の所得差との相関を図3に掲げた。

◆図3 夫が主に稼ぐ国ほど妻の家事分担が大

©本川裕 ダイヤモンド社 禁無断転載
拡大画像表示

 両者の間には、確かに、正の相関が認められる。欧米系の諸国と非欧米系の諸国では、所得の割に家事分担が進んでいるという段差があることも見て取れる。それぞれのグループごとに見ると、相関はよりはっきりする(台湾が欧米系の特徴を示し、チェコやロシアなどが非欧米系の特徴を示すなどの例外も結構あるが)。

 日本が家事負担で「主に妻」の割合が世界一なのは、夫の稼ぎが大きい夫婦が世界一多いことに加え、非欧米系の特徴を加味しているからだということがうかがえる。もっとも、夫婦の稼ぎのあり方で分担の程度が決まるという因果関係ばかりでなく、分担が妻へ偏っているので、結果として夫が稼げるという側面も無視は出来ない。

 いずれにせよ、日本の夫婦の稼ぎと家事分担のあり方は、欧米との比較ばかりでなく、欧米以外を含む世界の中でも非常に「特異」である点があきらかである。

 文化的な要素はあるとしても、ここまで日本人の夫婦のかたちが特異であるなら、それを維持するとすれば、単に文化・伝統に根拠を求めるだけでなく、やはり、合理的な理由も明らかにして、十分に納得して維持する必要があるだろう。

 また、維持するのではなく、妻の稼ぎを増やさないと家計が維持できず、結局は少子化につながるという理由、あるいは女性の共同参画の理念に反するという理由で、夫婦のあり方を見直すというのなら、ここまで特異となった状況を反転させるためには、つまみ食い的に政府に個別の要求を突きつけるのでは充分でなく、文化的伝統を含め、ことここに至った経緯を踏まえながら、理想となる「共働き社会」へと反転していこうとする国民的合意を形成する必要があろう。

(統計データ分析家 本川 裕)