欧州自動車メーカーの電気自動車(EV)が花を添えた昨年のパリモーターショー。その裏で、業界関係者らの視線は、ある日本のEVベンチャーに注がれていた。
名前はGLM。京都大学の研究プロジェクトを母体として2010年に設立されたベンチャーだ。かつて幻のスポーツカーと呼ばれた「トミーカイラZZ」をEVとして復活させ、国内のベンチャーとして唯一EVスポーツカーの量産に成功している。出資者にはソニー元会長の出井伸之氏やグリコ栄養食品元会長の江崎正道氏らが名を連ねるなど、早くからその存在が注目されてきた。
GLMに関心が集まる理由、それは、シャシーやパワートレインなど車の要となるプラットホームを一体化して外部のメーカーに販売するという特徴的なビジネスモデルにある。このプラットホームを用いれば、開発力のない企業でも容易にEV事業に参入することが可能となる一方で、GLMも基幹部品にのみ開発資源を集中することができる。「プラットホームを提供し、製品そのものは各社に造ってもらう点では、スマートフォンのイメージに近い」(田中智久・GLM取締役)。