「今年も新入社員が入社してきた」と思っていたら、早くも6月。多くの企業では新人たちの配属が決まり、ようやく彼らも実際の業務につき始めた頃だろう。しかし、最近は自らもプレイヤーとして業務を行う“プレイングマネジャー”が多く、新人育成に力を入れる暇がないのではないだろうか。しかも、新人研修が終わった後のこの季節に、無気力状態やストレス、失望感を抱えて5月病ならぬ“6月病”と呼ばれる症状を抱える新入社員も増えているといい、彼らの対処に管理職は悩むばかりだろう。では、業務に追われる管理職はどのような心構えと手法によって、6月以降の新人育成を行うべきか。様々な企業の新入社員研修などで講師を担当する産業能率大学総合研究所の渡邊真太郎氏に、多忙なプレイングマネジャーに知ってほしい「イマドキの新人育成術」を教えてもらった。(聞き手/ダイヤモンド・オンライン 林恭子)
「上司には声をかけづらいんです…」
管理職も無縁ではない若手が育たない理由
――最近の新入社員や若手社員には、どのような特徴があると感じていますか。
ここ数年でも段階的に変化しており、彼らの特徴が掴みづらいのが正直なところです。ただ、例を挙げれば、新入社員研修などでグループワークをさせると非常にきれいにまとめるものの、話がとても浅いという印象を受けます。また、何を話すわけでもないのですが、昼食をみんなで取りたがる傾向があります。さらに人事担当者からは、最近の若手や新入社員から上司・先輩へのアプローチがない、わからないことを聞きに来ないという声が聞こえてきます。
このような特徴を持つ新入社員は以前からおり、問題視されてきましたが、その割合が年々高まっているように感じますね。
――なぜ、新人たちは上司や先輩になかなか相談しないのでしょうか。
上司や先輩が忙しそうに見えて声をかけづらい、というのが大きな理由でしょう。また、自分が何かアクションを起こして失敗することに、すごくネガティブな印象を持っています。これは推察ですが、ゆとり世代である彼らの親はリストラなどの厳しい環境に置かれた世代で、それを目の当たりにしてきた彼ら自身も、ちょっとした失敗で自分の進退が危うくなることにナーバスになっているせいかもしれません。
――「上司や先輩が忙しそうに見える」ために声をかけづらいということですが、確かに最近の管理職はプレイヤーとしての要素が大きく、多忙を極めています。それは若手社員教育にどのような影響を与えていますか。