年代によって苦情の感じ方が違う
同じ売り場に立っていても、苦情がよく来る人とそうでない人、差がついていることに気づくことがある。その違いはどこにあるのだろうか。
「近年、自分の職場では苦情が増えていますか」との設問に対する回答を細かに分析すると、苦情を受けやすい人の傾向の一端がわかってきた(図参照)。
性別による違いはあまり見られないが、「わからない」の回答は女性のほうが圧倒的に多い。良くも悪くも、苦情をあまり深刻に受け止めていないのかもしれない。
年代別に見ると、30代から50代で「苦情が増えた」という思いが大きな割合を占めている一方、20代はそれほどでもない。若い世代では従来の傾向との比較が難しいと推測できる。あるいは、仕事をしている限りは苦情もあるものだと勉強してから社会に出ているのかもしれない。苦情の原因を「こちらの配慮不足」と考える20代が多いことから、若い世代の勉強に対する意欲もうかがえる。40代から60代にかけては、年代が上がるにつれて、苦情が増えたとは「思わない」割合が高まっている。経験を重ねることで顧客対応力が増したこと、また年長者として顧客に安心感を与えられることなどが、理由と考えられる。
在職年数による違いはあまり顕著ではない。在職年数3年以下で苦情が増えたと「思う」人が少ないのは、職場経験の浅さによるものだろう。
苦情に悩まされやすい人とは?
身の回りを眺めてみると、不思議と苦情・クレームに悩まされやすい人がいるものだ。一方で、そんな悩みとは無縁に感じられる人もいる。その違いはどこにあるのだろうか。
①説明が下手な人
クレームをつけられやすい人には、やはり特徴がある。その一つが、「説明下手」だ。相手に対して伝えるべきことを、適切な言葉で伝えきれないことがクレームにつながる。説明が下手な理由は、ズバリ知識不足である。自社・自店で扱う商品・サービスは当然のこと、その周辺についてまで豊富な知識を持っていれば、説明に困ることなどないはずだ。訪れる客の側は、接客する人をその道のプロだと考える。だから、思うような説明を受けられないと苛立ちが募ってしまう。このため苦情を申し立ててしまうのだ。