3月期決算企業の本決算発表が終わった後の株式市場は買いの手がかりとなる材料が乏しくなっている。震災の影響から企業業績の予想が難しく、決算発表で今期(2012年3月期)の税引き後利益の予想を発表できなかった企業は東証1部上場企業の21%を占めた。当の会社ですら難しいのだから、公表情報を使って予想するアナリストが利益を予想することは、なおさら困難だ。利益予想に確信が持ちにくければ、その利益を使った投資尺度や企業評価で単純に銘柄を選別できないだろう。
そこで今回は、あえてこの確信度を積極的に利用した銘柄選別を考案した。具体的には次のようなものだ。
ある事業会社に対して、複数の証券会社のアナリストが利益を予想するわけだが、この予想された利益にバラツキが大きい企業は、利益の予想が難しい事業会社と考える。反対に、アナリストが予想する利益にバラツキが小さく、予想が一定の範囲に集中する場合には、利益予想に対する確信の度合いが高いと考える。ここで、アナリストの予想利益のバラツキが小さい(つまり利益予想の確信の度合いが高い)銘柄のなかで、魅力的な銘柄を選んでいけばよいのだ。
では、今期予想利益のバラツキが小さい企業に注目するのがよいのか。じつはそうではない。