イベントマネジメントのスキルが
「本質的なアセット」だった

 毎試合3万7000人もの観客でスタンドをいっぱいにし、安全に楽しい時間を提供するという、レッドソックスが持っている「イベントマネジメント」のノウハウに着目したのです。

 分解するなら、会場を押さえ、告知活動を行い、チケットを販売し、会場の演出を設計し、イベント当日の安全な会場運営を行い、グッズを用意して販売し、ファンクラブ組織をつくり、次回の来場を促す、といったスキルです。

 これは野球や他のスポーツの試合を滞りなく運営できるというだけでなく、音楽業界にも使えるスキルだと気づきました。それこそまさに、公式戦だけでも年間80試合の開催・運営を長きにわたって重ねてきたレッドソックスの持つ「本質的なアセット(資産)」の一つでした。

 そしてFSGは、ボストン近郊で行われる音楽イベント、ライブ・コンサートなどのイベントマネジメントを事業として立ち上げたのです。「ボストンでイベントをするならレッドソックスに任せてくれ」と。

 さらに、本拠地フェンウェイ・パークの看板広告をスポンサーでいっぱいにしてきた実績に基づいて広告代理業にも進出。営業力を生かしてPGAツアーの冠スポンサーを獲得したり、MLBのリーグビジネスを担う要とも言えるMLBアドバンストメディアの代理店を務めるまでになりました。

 また、ボストンで最も好感度が高く、ブランディングにも長けているという自社の強みに着目して他社のPRを請け負うようにもなりました。その主なクライアントには、携帯電話最大手「Verizon Wireless」や世界に6000店を展開するドーナツ・チェーン「Dunkin’ Donuts」など全国区の一流企業のほか、NFLの強豪グリーンベイ・パッカーズなどもいます。これらのビジネスは、グループの「フェンウェイ・スポーツ・マネジメント」という会社で事業化されました。

 さらにさらに、FSGは選手のマネジメント業務にも手を広げます。

 レッドソックスは資金力のあるニューヨーク・ヤンキースと同地区に属しており、ヤンキースよりも少ない資金で互角に渡り合うため、年俸のコントロール(査定・交渉)や、選手のマネジメントに関する知見を蓄えてきました。そして実際に、ヤンキースを抑えてのリーグ優勝やワールドシリーズ優勝という結果も残してきました。