「もしドラ」100万部売るために
チームを作ってもらえませんか?
――最初にどう動いた?
加藤 すぐに、営業部長のIさんの席に行きました。「ちょっといいですか? じつはですね、『もしドラ』を100万部売りたいと思うんですよ」と。営業部長は、最初「え?」って感じだったので、「『もしドラ』100万部売りたいと思っているんです。チームをつくりませんか」と言いました。
――いつも唐突だが、それで?
加藤 そうしたら、「うん、やろう」って。それまであまり一冊の本を売るためにチームを作るってなかったじゃないですか? 僕も管理職じゃなかったですし、そういうのってありかどうかわからなかったからひやひやしていたのですが、すぐ動いてくれました。
まず、営業部長が音頭を取ってくれて、昼ごはんを食べる会合を開きました。最初の会合に集まったのは、営業部から何人か、宣伝部からも数人、書籍編集局からもドラッカー本の担当者と管理職。要するに、会社でドラッカーに関連してきた人が10人以上、みんな顔を揃えました。そこで営業部長と僕で「この本を100万部売りたいから、みなさん協力してください」と言う話をしました。
――どんな反応だった?
加藤 どうだったかなあ。突然の話だから当たり前なんですが、いきなり「うおー、頑張ろう! エイエイオー!」とかはならなかったですね。でもそれから、みなさんすぐに動き出してくれました。チームのミーティングはだいたい毎週行われて、そこでいろんなアイデアを出し合います。それをひとつずつ分担して実行していきました。
ちょうどチームが動き出した頃、NHKの『クローズアップ現代』とTBSの『王様のブランチ』で「もしドラ」が紹介され、売れ方が加速しました。
書店の売れ行きのデータを見ると、『クローズアップ現代』は、全国のある程度年齢を重ねた方々にとくに響いて、『王様のブランチ』は首都圏の若い女性に響きました。これはいい教訓になりました。マーケティングプランは、年齢や性別、居住地などをセグメントに分けて、対象ごとにいつ何をやるかという項目を埋めていってつくるようになりました。縦軸に狙うセグメントを書き出して、横軸には時間を書いて、順番に計画をたてていきます。5月にはこのセグメントにこんなことをしよう、6月には、と課題を設定して計画を立てました。だんだんシステマティックになっていきました。