◇地方出身の有名企業は多い

 家電量販店のヤマダ電機は群馬県前橋市、小売大手のニトリは北海道、衣料品大手のユニクロは山口県宇部市と、いずれの有名企業も地方出身だ。ドン・キホーテ、しまむら、イオン、CoCo壱番屋、スーパーホテルなども、地方や地元で起業し、全国、さらにはグローバルに展開する大企業の代表例である。

 たしかに、それぞれの地方の経済規模は都市部と比べると小さい。だが、地方経済が日本全体で占める割合は、都市部のそれよりも大きい。その意味で、地方経済で成功した企業は、ナショナルブランドに成長する可能性を秘めているといえる。

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◆ヤンキーの虎と地方の未来
◇伊藤レポートが明らかにした問題点

 経産省による「持続的成長への競争力とインセンティブ~起業と投資家の望ましい関係構築~」というプロジェクトの中で、一橋大学大学院の伊藤邦雄教授らによって発表された「伊藤レポート」には、今後の日本企業や投資家の行動に影響を与える提言が盛りこまれていた。

 それによれば、バブル崩壊以降の低成長が続いた要因は主に2つだ。ひとつは挑戦することよりも失敗しないことを是とした「大企業の経営者」であり、もうひとつはただ漫然と大企業の株を買うだけでリスクを負わない「機関投資家」である。

 伊藤レポートは、「企業が新しい事業にチャレンジしても評価されないから、日本経済が低迷した」と、大企業の経営者が保守的になっていることを指摘した。これを受けて、世界最大手の助言会社であるISS(Institutional Shareholder Service)は、「株主資本利益率(ROE)が、5年間の平均で5%を下回った場合、社長を再任してはならない」と発表。経営者が会社を成長するための投資をするよう促した。

 また、リスクを負わない機関投資家に対しては、金融庁や財務省、官邸が主導し、経済循環を進ませる日本版「スチュワードシップ・コード」を作成した。スチュワードシップ・コードとは、「『責任ある機関投資家』の諸原則」を定めたものだ。これにより、政府はずっと本来の役割を果たしてこなかった機関投資家の重い腰を上げさせることに成功した。

◇黒田バズーカの本当の目的

 このような施策を打ちだし、経済に刺激を与えることができても、個人が給料や配当を貯金してしまえば経済の流れはよくならない。そこで日銀の黒田総裁は、量的金融緩和に踏みきった。これは、単純な景気高揚や株価の上昇を狙ったものではなく、「このまま投資や消費をしなかったら、その現預金の価値は下がりますよ」というメッセージと捉えることができる。それは、2016年1月末にマイナス金利政策へかじを切ったことからも明らかだ。

 マイナス金利が実施されると、国債を保有する金融機関、とくに地銀は状況が一変する。利息がもらえなくなるどころか、利子を支払わなければいけなくなるかもしれない。

 こうした事情が、地方のヤンキーの虎たちにとって追い風となっている。金融機関が融資先を見つける必要に迫られたことで、前よりも楽に資金調達ができるようになったからだ。