経営 × 採用

グループ会社5000社を目指すソフトバンクの「人事制度の作り方」

多田洋祐 [ビズリーチ取締役・キャリアカンパニー長]
【第13回】 2017年5月25日
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管理職の10%程度が入れ替わる仕組みとは

多田洋祐・ビズリーチ取締役 キャリアカンパニー長

多田 人事評価に対しての考え方はどのようなものですか?

青野 評価は、頑張ったら認めて、処遇面などに適切に反映していくことが大事だと考えています。年齢・役職と年収の相関性をなくしていくことが人事の理想です。

 若い人にもどんどんチャンスを作るために、この10年取り組んでいるのは、役割に合わない人をどうするかという問題です。「抜擢」はさまざまな企業で実践していると思います。しかし、「降格」を取り入れないということは組織の形骸化を招く要因の一つだと考えており、ソフトバンクではパフォーマンスが見合わないというときは、きちんとグレードダウンしています。実際に、管理職の10%程度は毎年後任にその席を譲っています。

多田 とても厳しい環境ですね。

青野 そうですね。あとは、役職バトンタッチ制度も取り入れています。一定の年齢に達した方は後任にそのポジションを譲ろうという仕組みで、社内の人材流動化がどんどん進んでいます。また、若くしてライン長を任せる取り組みも実施しています。20代の社員に課長代行を任せたり、そういった場合に力量が見合わなかったら、もう一度出直しをさせます。逆に良いパフォーマンスを出したら正課長にします。このような仕組みと役職バトンタッチ制度によって、組織の新陳代謝はとても進んでいると思います。

多田 ソフトバンクではグループ企業数が多く、その分ポジションも多いと思います。グループ間連携はどうされていますか?

青野 グループ各社の人事が集まり、働き方改革について議論したり、各社の取り組みや残業データなどを報告し合っています。異動に関しては、グループ全体で「人材ボックス」という場があり、グループの人事責任者が集まって、適材がいたら出向させることもあります。あとは、具体的に「こういう人を何人かほしい」といったことも話しますね。情報を集積して、自分の企業にこういったスキルのある人がほしいと言いやすい仕組みを作っています。2週間ほど内部調達を試みて、見つからなければその後外部調達を行います。

多田 では逆に、社員から他のグループ企業への異動希望を出すことはできるのでしょうか?

青野 現在、社内ではフリーエージェント制度が拡大しています。フリーエージェント制度は、募集の有無にかかわらず自分から行きたい部署に、自分を売り込むような制度です。

 以前は人事総務統括のなかでやっていたのですが、だんだんと各部門に広がり、今では全社一斉に実施しています。人材の流動化はとても大事なことですが、社内の反発もありました。例えば、新規事業で募集をかけ、社員が手を挙げ合格したら、異動してしまう。人材が異動してしまった部署は引き抜かれたままになるので、人材不足が起こってしまいます。それでも、ソフトバンクでは自分の「やりたい」と思う気持ちを大切にしています。

 受け入れる部署としても、たとえ人員を増やす予定がなくても、強い思いを持った社員とはついつい会いたくなってしまうんですよね。人材が異動してしまった部署のポジションの補填をウィークリーローテーションや新卒の配属で調整することによって、社員の気持ちに最大限応えようとしています。

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企業における「採用」を考える

多田洋祐 [ビズリーチ取締役・キャリアカンパニー長]

トップヘッドハンターとして活躍後、人事部長として株式会社ビズリーチ入社し、入社時に従業員30人だった組織を4年で500人に拡大させる。現在はキャリア事業のトップとして事業全体を統括し、「ダイレクト・リクルーティング」の日本での本格的な普及に努める。

 


経営新戦略3.0

これまで数々の企業と対話を重ねてきた採用コンサルのプロが企業に横たわる経営課題をトップに直撃、その解決策について議論する。

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