震災後、輸出が大きく落ち込んだことはよく知られている。2010年4月と比べると、11年4月の輸出総額は12.4%減少した。
しかし、【図表1】に示すように、品目別には大きな差が見られる。
減少率が最大だったのは、輸送用機器だ(43.2%減)。なかでも乗用車が、67.9%減と非常に大きく落ち込んだ。
電気機器も12.5%減となっている(半導体等電子部品が19%減、ICが24%減。なお、テレビ受像機は20.1%増)。
このほか減少率が大きかったのは、食料品(22.9%減)、原料品(12.6%減)、鉱物性燃料(46.1%減)などだ。
その半面で、10年4月と比べて輸出額が増加している品目もある。一般機械は1.5%増で、そのうちの金属加工機械は36%増となっている。
輸送用機器の総輸出額に対する比重は大きいので、これが輸出総額を減少させたことがわかる。
このような品目別の差を反映して、地域別の輸出額の変化にも大きな差がある。自動車輸出が中心の北米向け輸出が23.3%減と大きく減少した半面で、アジア向け輸出は6.6%減と、それほど大きくは減少していない。
生産面でも、自動車の落ち込みが際立つ
言うまでもないことだが、震災後に輸出が落ち込んだのは、震災によって国内の生産設備が損傷し、それによって国内生産が落ち込んだからである。
経済危機後に輸出が落ち込み、そのために国内の生産が落ち込んだのとは、因果関係がちょうど逆になっている。