再発・転移に光明
胃ガン(2005年の罹患数11.7万人 1位)
胃ガンは、早期発見かつ転移がなければ、ガン病巣を切除する手術が、治療の基本となる。この場合、治療の効果を測定する「5年生存率」は90%以上と、治療実績は高い。
また近年、術後に経口剤「TS-1」を1年間服用することで、再発率や死亡率が下がることが証明されている。
胃ガンで抗ガン剤などを用いる化学療法が中心となるのは、比較的厄介なケースである。
たとえば、胃から離れた部位に転移があるか、術後の再発、または手術で病巣が取り切れなかった場合などがこれに該当する。
胃ガンが再発や転移をしたときは、TS-1を単独で服用するか、または抗ガン剤「シスプラチン」を併用するのが、現在有力な療法とされている。それ以外のクスリも含めて、現在、胃ガンの治療薬として認められているのは、正常細胞にまでダメージがある従来型の抗ガン剤のみだ。
しかし、いよいよ胃ガンでも“個別化”治療が始まりそうだ。というのも、乳ガン治療薬としては広く使われているハーセプチンが、胃ガン治療にも使えるようになったからだ。
ハーセプチンは、既存の抗ガン剤療法との併用で、進行・再発胃ガン患者の生存期間の延長が確認されている。対象となるのは、乳ガンと同じく、HER2と呼ばれるタンパクが、ガン細胞の表面に過剰に現れている、進行・再発胃ガンの患者。全体の2割程度を占めるといわれ、高い効果が期待されている。