「投資」的な視点から見れば
幼児期の方が支持を得やすい

 議論の整理を試みたい。まず、教育費無償化の対象には、何が適切なのだろうか。

 現在、大まかには小中学校の義務教育は無償だが、その前の幼少時教育と、この後の高等教育のいずれを無償化するのか、または両方を無償化するのか、そもそも教育費無償化の拡大に反対するのか、といった意見の相違がある。

 費用の負担を考える上で、いくら必要なのかが問題だが、今のところ幼児教育無償化には年間7000億円、高等教育無償化には3.1兆円の支出が必要だとされている。

 投資としての効果の点で支持されやすいのは、幼児教育の効果だろう。欧米の「教育の経済学」の研究では、主に3、4歳の幼少時に質の高い教育を与えることの効果が大きいとする声が大きい。

 端的に言って、幼少期に良い教育を受けると、将来、経済的に成功しやすいし、犯罪率が低い。試験の点数に表れるような学力よりも、必要なことへの集中力や自分自身をコントロールする力などが養われて、大人になってからの人生がより良いものになっているようだとする研究が支持されている。

 一方、高等教育の効果については、例えば大学を卒業しているか否かで、生涯年収が数千万円単位で異なる(大卒者の方が年収が高い)ことが指摘されている。

 また、親が高収入であるほど大学に進学する比率が高く、そして、大卒者の方が高収入であることから、「教育を通じて、経済的格差が拡大再生産されている」という意見があって、格差自体は一般的に好ましくないとされるので、この点から高等教育の無償化を支持する声がある。

 高等教育の無償化には、率直に言って「大学(生)」と呼ぶに値しない学力的に低レベルの大学、あるいは学生の学費を公的に負担すべきなのかどうかは考えるべきだ、という意見もある。