受験最大手のナガセが、「早稲田塾」の校舎を大量閉鎖すると発表した。同じナガセの傘下でも東進ハイスクールは好調だが、明暗はどこで分かれたのか

早稲田塾「大量閉鎖」の原因は
単なる少子化でははない

 受験最大手で「東進ハイスクール」や「四谷大塚」を傘下に持つナガセが、子会社の「早稲田塾」で校舎の半分近くにあたる11校を閉鎖すると発表した。

 このニュースから3年前に、予備校の代々木ゼミナールが全国27ヵ所の校舎のうち20ヵ所を閉鎖したという報道を、思い出した人も多いかもしれない。しかしナガセのケースでは、少子化の煽りで教育市場が縮小しているという捉え方ももちろんできるのだが、実情はもう少し複雑で興味深い。

 実際、ナガセという会社は過去10年で売上高が250億円から450億円規模へ、純利益が16億円から26億円へと成長している。単年度ごとの浮き沈みはあるが、2年ごとに見れば堅実に増収を続けている会社なのだ。

 受験産業においては、全体のパイの縮小よりもミクロで起きている変化の方が大きい。ということで、今回は受験産業で起きている構造変化を3つの視点からまとめてみよう。

 1つは大学受験者の構造変化だ。過去25年間で一番大きい変化は「浪人数の激減」である。団塊ジュニア人口のピークが受験にさしかかった1992年当時の浪人率は約35%、つまり昔は3人に1人が浪人生だった。それが今では激減して、8人に1人しか浪人しない。

 この構造変化の影響をもろに受けた形になったのが、代々木ゼミナールだ。予備校の収益の二本柱である現役生と浪人生のうち、浪人生市場が大幅に縮小した結果、全国主要都市に大型の校舎を抱えるだけの事業規模がなくなってしまったわけだ。

 ただ、代ゼミの校舎については、我々ビジネス関係者の間でよく知られた面白い工夫がある。それはもともと少子化時代の到来を予想していたため、オフィスやホテルなど他業態に転用しやすいように校舎が設計されていたというものだ。実際、駅前の一等地にあった代ゼミの不動産は、校舎閉鎖後にホテルなどに転用されてお金を稼いでいる。

 いずれにしても、代ゼミの閉鎖は「浪人率減少」が最大の引き金だったことを考えると、現役生中心の早稲田塾の場合は、少し事情が異なる。構造変化の2つめのキーワードは「一般入試とAO入試」である。