日本の施設も大きく進歩―「公務員犬」「公務員猫」も
石黒 さあそして、イギリス、ロシア、アメリカ、スペイン、ドイツ、ケニア、香港と、海外7ヵ国を巡ったところで、大学時代に初めて訪れ、その後、いろいろ回られた日本の保護施設についてどんなことを感じていますか。
本庄 7つの施設を訪れて、何度も言いたいことは、現場のスタッフの方々の熱意に打たれるということです。それから、私が知っているこの10年と少しの間でも、日本の施設は施設、システム、意識など、あらゆることが進化しています。実際に犬や猫の殺処分はぐっと減っていますし。
石黒 僕が昨年訪ねた青森県動物愛護センターも、犬が保護されてる場所とは別のきれいな建物に、事務所やホールがありました。
本庄 私が訪ねた、通称「ハローアニマル」という長野県の動物愛護センターでも、ドーム型のふれあいスペースや、ドッグランなどがありました。ここには「公務員犬」「公務員猫」がいて、子どもに動物とのふれあいを教えるなど、地域住民とのつながりの場にもなっていてすばらしいと思いました。不登校の子どもにふれあってもらうなどの試みもされています。
石黒 公営も私営も環境が整っていくといいですね。7年ほど前、韓国の盲導犬協会の視察に、盲導犬使用者5人、盲導犬5頭、介助ボランティア5人で行きました。韓国は、盲導犬事業は後発なのに、施設はすごく近代的で充実していて、訓練士さんは一流大卒ばかりだったりと、とにかく進んでいて驚きました。韓国は、公営ではなく、あのサムソンが1社でメセナ事業としてやっているんです。だから、本気になれば決定が早く進むと。それが公営だと、いろいろ合意の上でとなりなかなかという苦労が逆にイメージできました。
本庄 なるほど! 世界の保護施設では、私営も多かったのでそういう現実も想像できます。
石黒 そろそろ最後になりますが、こうしてさまざまな実態をご自身の目で確かめ、さらに日々研究を続けている若い本庄さんには、これからの動物保護問題への提唱などを続け、みんなの意識をひっぱっていっていただきたいと願っていますし、期待していますよ!