そして、告発を行おうとする生徒やその保護者には、学校関係者や他の保護者から「嘘つき」「モンスターペアレント」という言葉が浴びせられる。取材から浮かび上がるのは、教師から生徒への性加害という「あってはならないこと」が隠匿され続ける構造だ。池谷さんに、教育機関という構造の中で起こる性加害について、話を聞いた。

『スクールセクハラ なぜ教師のわいせつ犯罪は繰り返されるのか』 (幻冬舎文庫)、池谷孝司著、315ページ、648円(税込み)

被害の告発者が
嘘つき呼ばわりされる

――『スクールセクハラ』は2014年に発売、今年になって文庫版が発売されました。発売からの3年間でも、教師の処分数は増えています。

 2013年度に初めて200人台を突破し、2015年度には全体の処分者数としては過去最高の224人でした。過去には、「まだ先生も若いんだから」と内々にすませてしまうということがあった。たとえば転勤で終わりにする、ということもあったんですね。最近ではコンプライアンスの意識が高まって、件数としては上がりやすくなってきた。それでもまだなかなか表ざたにならないケースはあるでしょうね。

――表ざたにならない理由として、性暴力の場合、体罰やいじめの問題と異なる要因もあると思います。

 性暴力の場合特に、被害者の方が言いたくなかったり、誰に相談したらいいのかわからなかったりということがある。友達には話せても、親や他の先生に言うことはできない。ハードルが非常に高いですね。

――伝えたとしても「嘘つき」などと言われて信じてもらえないケースがあることが、『スクールセクハラ』では書かれています。

 学校も他の保護者も、その教師に部活動や受験指導などで実績があればあるほどかばいます。だから被害者が嘘つき呼ばわりをされる。せっかく勇気を振り絞って話をしたのに、それが本人にとってより不利益になってしまうことがある。また、被害を訴えると、担任から校長から、教育委員会から……と、何回も聞き取りが行われて、何度も同じ話をしなければいけないということもある(※1)。被害者にとって不利益になることが多いのが、スクールセクハラの特徴です。