2 相手をほめる

 人はみな自分が称賛に値すると思っているとき、ほめてもらうのが大好きだ。社会学者によると、それは私たちすべてを動かす基本的な願望だから、人が自分をほめてくれる人に好意を抱くのは当然だという。これは自然な反応であるだけでなく、もっと重要なことがある。

 多くの人は日常生活でほめられることがめったにない。だが、それはその人にほめられるだけの価値がないからではなく、相手を称賛する気持ちを誰も言葉で伝えようとしないからだ。

 ほとんどの人は自分のことばかり考えているから、相手のことをあまり高く評価していない。人々の会話をよく聞けば、誰かが相手をほめていることがめったにないことに気づくはずだ。

「人を動かす技術」にたけた人は、何かを求める際に、まず心をこめて相手をほめてから要望を伝えるように心がけている。このやり方はつねに功を奏する。これこそが人間関係の極意である。

3 相手の名前をできるだけ頻繁に口に出す

 相手の名前を会話の最初の1分間に10回ほど言って、相手とのつながりをつくろう。

「やあサム、今日の調子はどう?」
「どうぞ座ってください、サム」
「サム、ご家族のみなさんは元気?」

 おわかりだろうか。私たちはみな単なる集団の一部としてではなく、個人として扱われたいと願っている。私たちを一人の個人と感じさせてくれるものといえば―自分の名前だ。

 自分の名前を見聞きすると、人は自分が大切にされていると感じる。
 何か話すときは相手の名前を言い、会話のなかでも名前を何度も繰り返そう。

4 相手の質問に答える前に少し間をおく

 誰かが質問をしてきたとき、それに対して答える前に数秒間だけ間をおこう。これは心理的に絶妙な効果があり、繊細な力学が働く。答える前に少し間をおくと、相手の自尊心を高めることができる。あなたは相手の質問をじっくり検討しているという印象を与えて、相手を立てることができるからだ。

 逆に、すぐに答えると、それと正反対のことをしてしまうことになる。相手の質問を十分に検討していないという印象を与え、相手を軽んじることになるからだ。必ずそうなるとはかぎらないが、そんな危険をおかす必要はない。