対人ストレスを常に感じている人は多いでしょう。自己欺瞞に陥るメカニズムを理解していれば、ストレスで悩むことは防げます。大事なことは、他者のために自分に何ができるかを常に考えることです。
思考法から発想術、文章術、読書術、プレゼン術、図解術、交渉術、成功哲学まで、本当に使える仕事術を1冊に凝縮した新刊『ビジネススキル大全――2時間で学ぶ「成果を生み出す」全技術』より抜粋し、紹介していきます。

職場の環境は改善し定着率が向上した

 私は2006年に会社を設立しました。開業当初は会社の人間関係が悪く、ストレスであふれていました。

 私は「仕事に文句があるのは無能な証拠、辞めたい人は辞めればいい」と考えていました。経営者がそんなですから、社員の定着率も最低でした。

 私がそんなでしたから、社員たちも「辞めていく人たちは、能力もないのに給料をとっていた人たちだ」と思っていました。そんなふうに思っている者同士が一緒に働いてもうまくいくわけがありません。

 定着率の低さが業績に悪影響を及ぼすようになったころのことです。ついに、メンタルを患う社員が現れました。これがきっかけになり、私は目を覚ましました。

 そんなとき、ある社長が「一発で対人ストレスが解消する方法があるよ」と言って教えてくれたのがこの対人スキルです。これは当時、経営者仲間の間で話題になっていたスキルで、私も藁にもすがる思いで学びました。

 おかげで、職場の環境は改善し、定着率は極めて高くなりました。それに比例して、業績も改善しました。さらに、家庭内の人間関係まで良好になったのです。

一発で人間関係が改善した例がたくさん

 こんな事例があります。外資系証券会社勤務のBさん(40歳)はきわめて優秀なのですが、いつも人間関係を理由に転職を繰り返していました。はじめは意気揚々と働くのですが、数ヵ月もすると職場の人間たちを罵倒して辞めてしまうのです。優秀なだけに、すぐに次の職場が見つかるのですが、あまりにも転職を繰り返すので、転職市場ではジョブホッパー(転職を繰り返す人のことで、採用担当者に忌み嫌われる存在)と見られるようになりました。これではマズいと思ったB氏が私のところへ相談に来たのです。

 そこで、私はBさんにこのスキルをおススメしました。Bさんはすぐに自分の「自己欺瞞」に気づき、深く反省してくれました。それ以来、Bさんは職場で良好な人間関係が保てるようになり、いまでも同じ会社に継続して勤務しています。

 この対人ストレス一発解消法はかなり強力です。一発で人間関係が改善した例が他にもたくさんあります。