「タイムズ」ブランドで全国1万拠点以上を展開するパーク24は、時間貸し駐車場ビジネス最大手。ここ数年の度重なる不況にもかかわらず、連続増収増益の成長軌道を描いている。同社の好調な業績を支えているのが「TONIC(トニック)」という情報システムだ。同システム構築途上の2003年に入社した川上紀文氏は、以後このTONICを軸にした業務改革と新規事業確立でリーダーシップをふるっている人物。同社ならではのシステム戦略とはいかなるものか?

駐車場の「サービス向上」
が最優先課題

川上紀文かわかみ・のりふみ/パーク24株式会社執行役員、業務推進本部長。1965年生まれ。富士通エフ・アイ・ピー、リクルート、A.T.カーニーを経て、2003年パーク24入社。2007年より現職。2009年にはグループ企業タイムズモビリティネットワークスの取締役執行役員に、2011年5月には同レスキューネットワークの取締役にも就任。
Photo by Kunihiro Aizawa

――まずTONICの開発経緯について教えてください。

 多くの企業では、基幹系、勘定系のシステム開発の延長で情報システムが拡大していきますが、当社では根本的な発想が違いました。西川(光一氏。パーク24社長)は、無人の駐車場サービスをすべてオンラインでつなげITの力で差別化したいという構想の下に、TONIC(Times Online Network & Information Center;トニック)を位置付けていました。

 さまざまなサービスを駐車場にどう付加して発展させていくかが主で、勘定系システムやイントラネットはそれに追従するものという発想です。2003年に入社して具体的にTONICを構築していくにあたって、私は「駐車場ビジネスは、まだ普通のサービスが普通にできていない」という西川の問題意識からスタートしました。

――「普通のサービス」とは、たとえばどのような?

 時間貸し駐車場に設置された精算機といえば、かつて釣り銭さえ返ってこないようなレベルのものでした。「普通」とは、高額紙幣もクレジットカードも使えること。さらにいえば、小売でいうところのPOS(販売時点情報管理)システムのように全国のタイムズの拠点のどこで、いつ、どれだけの利用があったかをリアルタイムで把握できることです。

 現在では、クレジットカードや電子マネー決済も可能になり、「タイムズクラブカード」という個人会員システムをつくりポイントサービスを提供しています。法人向けに掛け売りカードである「タイムズビジネスカード」もつくりました。