近年、コンビニエンス・ストア(以下ではCVSと略す)をはじめとする小売やサービス・外食産業では、フランチャイズ制が主要な販売形態となっている。実際、我が国には千を超えるフランチャイズチェーンがあり、加盟店の数は約40万店に達している。

ビジネスフォーマット

 フランチャイズ制のもとでは、本部は加盟店にたいして自らの商標などを使用して事業を行なう権利を与え、その経営を指導するとともに、原材料や商品を供給する。この際、本部は取り扱う商品や仕入れ先を推奨すると同時に、推奨小売価格を提示するが、加盟店は(少なくとも契約上は)品揃えや小売価格を、自ら決定できることになっている。これらの対価として加盟店は、商品の仕入れ代金に加えて、加盟金(フランチャイズ料)やロイヤルティなどを本部に支払っている。

 かつては自動車のディーラーやガソリン販売に見られるような「商品・商標」にもとづくフランチャイズ制が主流であったが、近年ではCVSや外食産業に典型的な「ビジネスフォーマット」にもとづくフランチャイズ制が多くなっている。このタイプのフランチャイズ制では、本部と加盟店が果たすべき役割が契約に明記されており、ビジネスフォーマット(マニュアル)に従って、各々が努力することが謳われている。

 多くの場合、商標広告や商品開発などは本部の役割であり、店頭でのサービスの提供は加盟店の役割である。これらの役割を遂行するために、本部と加盟店はコストを負担しつつ努力することが義務づけられている。

 双方の努力は販売量を増やし、

 全体の粗利益=(小売価格-生産者からの仕入れ価格)×販売量…(1)

 を増加させる。ここで販売量は、本部と加盟店が努力をすれば増加するし、小売価格が高くなれば減少する(以下では特に断らない限り、販売量は、双方が努力した状況におけるものとし、小売価格が上がれば減るものとする)。