「ホテル アンテルーム 京都」は、観光には不利な立地だからこそ生まれた、アートやカルチャーの発信拠点としてのホテル。アーティストが手がけるコンセプトルームも。写真はギャラリーノマルが手がけた庭付きツインルーム

 現在開催中の、デヴィッド・ボウイ写真展「DAVID BOWIE by MICK ROCK」(7月17日まで)。ジギー・スターダスト時代のボウイに密着し、そのグラマラスな姿と時代を写し出したミック・ロックによる、『スペース・オディティ』のジャケット写真など約50点を展示している。

 ユニークなのは、その開催場所だ。美術館や画廊ではなく、ホテルなのだ。

 館内でデビット・ボウイ写真展を開催しているのは「ホテル アンテルーム 京都」。築23年の学生寮をコンバージョンしてつくられた、「365日アートフェア」をテーマに掲げるホテルだ。

 同ホテルはJR京都駅から徒歩圏内ではあるが、観光の中心地からは外れた地域に建つ。企画・設計・運営を手掛けるUDS株式会社の取締役・中原典人氏は、そんな不利な立地だからこそ現在のスタイルが生まれたと語る。

「果たしてここにホテルが成立するのか?という立地でしたから、従来のホテルの形式をそのままもってきても勝算は見込めません。そこで、伝統工芸や現代アートが盛んな京都らしさを踏まえ、『京都のアート&カルチャーの今』の発信拠点となるような、今までにないホテルを目指しました」

 京都や関西エリアを中心に活動するアーティストやクリエイターをパートナーとして迎え、ホテルのロビーや廊下、客室など館内のいたるところにアート作品を展示。展示作品は購入もできるようにした。

 178室ある客室(うち50室は長期滞在用)にもアート作品が展示され、インテリアは全室で異なる。その一部に、彫刻家の名和晃平氏や写真家・映画監督の蜷川実花氏ら8組のアーティストが手掛ける「コンセプトルーム」があり、作品展示だけでなく客室空間全体で独自の世界観が表現されている。

 時期やプランによっては6000円程度から宿泊可能。アート目当ての宿泊、女性の1人旅、ビジネスマンの出張など、幅広い層に利用されているという。