しゃべりがうまくても「要約」ができなければ通用しない

「要約力の低い人」はボトムアップ型(事実の羅列)となっているのに対し、「要約力の高い人」は、まず最初に結論を述べています

「要約力の低い人」は、結局、愚痴なのかホテルを褒めているのか、いまひとつ話のポイントがわかりません。「要約力の高い人」の話では、「僕も沖縄ならこのホテルに泊まってみようかな」と、次の行動につながる可能性があります。

 このような要約は、ビジネスでも、多忙な相手と話す際にとくに重要になってきます。忙しい人はまず結論を聞きたがります。「その話は自分にとってどういう意味合いなのか」をすぐに知りたい。沖縄旅行の説明の例では、「要約力の高い人」の話なら、少なくとも「沖縄旅行に行くなら○○ホテルが良い」というメッセージはすっと頭に入ってきます。

 また、要約された話は、そこをたたき台にして、さらに議論を深めることができます。ポイントが明確だから、そこから議論を展開しやすいのです。

「○○ホテルが良い」というメッセージが明確であれば、「どんなサービスがあるのか?」「従業員の態度はどうだったか?」「同じようなサービスのあるホテルは東京にはないか?」など、次の話につながります。

 これが「要約力が低い人」の例のようにポイントが曖昧だと、いくらぺらぺらとしゃべりがうまくても、相手は話を広げるのにも深めるのにも苦労します。

 この「要約力」を鍛えるには、日ごろから会議やミーティング、あるいはメールなどの文書でも、話を要約(コンサル業界では「シンセシス」と呼びます)してみることをお勧めします。「つまり、一言で言うと○○です」と要点をまとめるわけです。

 一言で要約しきれない場合も、一言で言い切ってから、理由やその他の事実を追加で説明する。これだけで、メールの読み手や、ミーティングの出席者の理解は格段に深まります。

(本原稿は、侍留啓介著『新独学術 外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法』より抜粋・編集して掲載しています)