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先進デザイン企業のアドビが
デザインの力をさらに強くするわけ

瀧口範子 [ジャーナリスト]
【第433回】 2017年7月5日
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 同社の製品マネージメント、エンジニアリング、そしてデザインのチームは、相互の関係を深めるためによく“Design in a Day(即日デザイン)”というイベントを開いている。これは、ハッカーソンのようなもので、短時間に少数チームが集中的に知恵とアイデアを練る機会だ。テーマにするのは、例えばNPO向けの美術館のインスタレーション・デザインといった、プロボノ(無料奉仕で行う仕事)のプロジェクトである。こうした場を経て、製品マネージメントもエンジニアリングもデザインも「ハイブリッドなアプローチ」を体得していくと、マイロルド氏は語る。

 現在アドビは、クラウドに製品を移行させている。デザインの対象も、パッケージ製品、ウェブ・エクスペリエンス、モバイルアプリと多様に広がっている。マイロルド氏は、「今後は、VR(バーチャル・リアリティー)、機械学習などのAIの役割が大きくなり、コンピュータは紙のようになり、インターフェイスも音声に変わる」と、大きな変化を予測する。

 そんな時、「企業は急いで前進しようとするが、人間の状況を深く理解するデザイン思考のアプローチが無視されがち。だが、デザイナーはユーザーの声を代弁する人間」と、マイロルド氏は強調した。

 企業活動の中で、デザインはわかりにくい課題である。だが、ユーザーが製品やサービスを利用する過程で体感する「エクスペリエンス」は、企業イメージを左右するものになっている。デザイナーの役割を進化させようとするアドビのアプローチは、そうした時代へのひとつのヒントを与えるものだ。

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瀧口範子
[ジャーナリスト]

シリコンバレー在住。著書に『行動主義: レム・コールハース ドキュメント』『にほんの建築家: 伊東豊雄観察記』(共にTOTO出版)。7月に『なぜシリコンバレーではゴミを分別しないのか?世界一IQが高い町の「壁なし」思考習慣』(プレジデント)を刊行。

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