メガバンクがこの戦略に注力する背景には、国際金融規制がある。国際的にビジネスを展開する金融機関には厳格な自己資本比率規制が定められており、この値を下回れば市場から強制退出となる。

 自己資本比率の分子は資本で、分母はリスクアセットという融資の貸し倒れなどのリスクを加味した資産だ。そのため、銀行の伝統的な本業である融資事業を拡大すると分母が膨らみ、自己資本比率が下がるというジレンマに陥る。

 ところが、融資で生じた貸出債権を売却して切り離せば、銀行はリスクアセットを増やさずに済む。また、それに伴って収益源は貸出金利から金融商品の販売手数料に変わる。そんなビジネスモデルの転換を図っているのだ。

売れ筋は海外の融資案件

 ただ、メガバンクが注力するこの戦略の下では、主に海外の融資案件を対象に金融商品化と販売が行われてきた。国内案件と比べて収益性が高いが、海外に足場がないためにリスクを評価し切れない。そんな地銀などにとって、メガバンクという信頼できる売り主が販売する海外融資案件には、買う側としてもうまみがあるからだ。

 一方、今、“新発売”を検討中という住宅ローンは、地銀自身も知見を持ち、収益性も低い商品だ。冒頭のメガバンク関係者は、「地銀が手薄い証券や信託のビジネスで彼らと代理店契約を結んで協業する」ことも併せて検討しているというが、住宅ローン債権に飛び付かざるを得ない状況とは、地銀にとって極限状態といえる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)