GDP統計に基づきIMFが発表する「世界経済見通し」でも、世界と各地域・主要国それぞれの成長率データが示されるが、世界全体の動きを「見える化」するためには、むしろ「寄与度」で各地域の内訳を表した方が分かりやすいので、英国エコノミスト誌などでも同様の図は折に触れ掲載されている。

 過去の推移を振り返ると、1980年代後半に日本がバブル経済に浮かれていた頃、世界経済も4%前後の高い成長を示していたが、日本でバブル経済が崩壊した1990年代前半には、ロシアなど東側諸国における自由経済への移行に伴う経済混乱が世界経済の成長率を大きくダウンさせた。EUの寄与度の大きな縮小に、特にヨーロッパを襲った激震の影響がうかがえる。

 それ以降の目立った世界経済の後退は、次のような事件によっている。カッコの中には事件に対応した図上の特徴点を記した。

1998年 アジア通貨危機(アジアその他の寄与度がマイナス)
2001年 ITバブルの崩壊(米国寄与度の大きな落ち込み)
2008年 リーマンショック(翌年にかけ特に先進国で寄与度がマイナスにまで達す)
2009年 欧州債務危機(EU寄与度が大きなマイナス)

 リーマンショックが起こる前の2004~2007年、世界経済の成長率はおおむね5%台と絶好調だった。これは、この時期に中国やインド、ブラジルといった新興国が、世界経済の主要アクターとして新たに登場してきた一方で、図の「その他」に含まれる産油国が、原油価格の上昇傾向に支えられ、大きく世界経済に寄与したためである。

 現在に続く10年代は、欧州が債務危機からの脱却が十分でなく、日本経済も大きな伸びが期待できないことに加え、米国、ブラジルなどで経済が不調だったため、直近の2016年には世界の成長率が3.1%にまで落ち込んでいる。

 2017年以降、いったんは欧米先進国の経済が回復すると見通されているが、長期的な成長率の低下は避けられず、むしろ成長率を維持する中国、成長率を高めるインドやその他途上国の寄与によって、2022年に向けて3%台後半で堅調な世界経済の拡大が続くと予測されている。