イノベーションに成功した
日本企業は「改造型」が多い

 済南駅の旧駅舎と、上海新天地を見ればわかるように、都市再開発には「解体型」と「改造型」という2つの方法がある。前者は簡単で、見た目にもわかりやすいため、地元幹部の実績につながりやすいというメリットもあるが、ややもすれば乱暴な方向に走ってしまう恐れがある。一方で、後者は伝統や文化への配慮が求められるだけではなくセンスも必要だが、視覚的なインパクトは比較的弱い。

 しかし、よくよく見ると、イノベーションに成功した日本の企業には、「改造型」の手法を採用したケースが多い。

 たとえば、紡績関連からハイテクの企業へ進化した企業は数多く、東レ、帝人、東洋紡、日清紡などが代表例だ。また、凸版印刷や大日本印刷は、印刷会社からハイテク企業へと変身した。

 今やロケットなどに使う炭素繊維や、医薬品なども作っている宇部興産は、19世紀末に誕生した炭鉱会社だった。創業者の渡辺祐策氏が「いずれは掘り尽くしてしまう有限の石炭を、工業の無限の価値に展開し、地域に永く繁栄をもたらそう」と考え興した企業だ。

 その後、社会が求めるニーズに応える形で、採炭を支える機械の製造・保守から「機械事業」をスタート、石炭と周辺の豊富な石灰石や炭鉱の廃土を活用した「セメント事業」、石炭を原料として肥料となる硫安を製造する「化学事業」など、石炭という“祖業”を起点として新規事業を次々に展開、それぞれが今日の宇部興産の礎になるまで成長している。

 先月、東京都内で開催された「日中企業イノベーション東京フォーラム(2017)」に参加した中国企業の関係者たちが、「出版技術を利用して世界を変える」という理念でイノベーションを通して新しい市場作りに成功した凸版印刷の努力と成果に感心した理由も、そこにある。

 このように考えていくと、中国企業も保有している基礎技術の重要性を改めて認識し、それを活用してイノベーションを進めていく、上海新天地のような「改造型」を検討すべきである。それが成功の秘訣であるからだ。

(作家・ジャーナリスト 莫邦富)