「コストパフォーマンス」が高い
さらに、大学受験用の教材をおすすめする理由として、「コスパがよい」ことも挙げておきます。
参考書の多くは、高校生を顧客としているため、たいてい安価です。
大学生向けの専門書が1冊数千円するのに対し、受験参考書は高くても2000円程度です。また、受験が終わると古本屋に売られることも多く、中古本では数百円で手に入れることもできます。
たとえば、私の手元にある『ことばはちからダ!』(前島良雄他著、河合出版)という現代文の用語集は、定価で886円です。1000円を切る値段でありながら、「日常」などの基本用語から「パラドックス」「アンビバレンス」などの、なんとなくわかるけれどきちんと定義を説明できないような概念まで網羅されており、この1冊を読んでおくだけでも、哲学や評論を読む際の理解レベルをかなり深めることができるはずです。
後に紹介する倫理や政治・経済の膨大な情報量を含んだ参考書も古本なら数百円で購入できます。
また、リクルートの提供するオンラインアプリ「スタディサプリ」は、月額1000円足らずで有名講師の全科目の授業を聞くことができます。私も通勤のあいだを利用して毎日聞いていますが、みなトップ講師だけあって軽快な話し方で飽きることがありません。
私はとくに、TOEIC対策の本でも有名な関正生氏の英文法講座をよく聞いていますが、私のように英語をかなり学んだ者でも目からうろこの解説が次々と出てきます。軽妙な語り口で、読んだり話したりするうえで英文法がどのように役に立つのかが詳しく解説されています。
同じような内容でも、大人向けのTOEIC対策講義を受講するとすれば、桁違いに高いお金を払うことになります。ちなみに海外に留学した場合、MBA取得にかかる費用は学費だけで1000万円もかかります。
大学受験のやり直し学習は、全科目の教材をそろえたとしても数万円、学習時間も半年から1年で習得できることを考えると、いかにコスパがよいかわかるでしょう。
受験生という、ある意味では最も(講師や本の)費用対効果を重視する顧客を対象としているので、定評のある受験用の教材というのは、それだけ効果や効率性が高いわけです。
ここまでに述べた大学受験の参考書のメリットをまとめておきます。
(1)知識を効率的かつ網羅的に学習できる
(2)問題を解くことによって、正しい答えを導くスキルを身につけられる
(3)質が高いのに、費用が安くすむ
以上の3つのメリットだけでも、ビジネスパーソンが大学受験用の参考書を使って
学習する価値は大いにあると考えられます。
(本原稿は、侍留啓介著『新独学術 外資系コンサルの世界で磨き抜いた合理的方法』より抜粋・編集して掲載しています)