いつの時代も人々の頭を悩ませるのが世代間のギャップ。古代人ですら「最近の若い者は」と言っていたという笑い話もあることを考えると、相当に根深い問題だと言える。
現代の日本では、さらに問題が複雑だ。日本型の年功序列システムが崩壊したと言われて久しく、声高に導入が叫ばれた米国流の成果主義や合理主義も十分に機能しているとは言い難い。世代間ギャップに加え、こうした社会情勢の変化が人々の価値観に大きな影響を与えている昨今。職場での上司と部下のコミュニケーションがますます難しくなり、「部下と心が通わない」との嘆き節を赤提灯の下で垂れ流している人も多いのではないだろうか。
そんな現状を鑑み、この連載では「発見!『職場力』向上プロジェクト」と題して上司と部下のコミュニケーションを円滑に進めるコツについて探っていきたいと思う。第1回目は部下世代の働く男女を対象に、「ダメ上司のポイント」について聞き取り調査を行ったので結果を紹介しよう。まずは部下たちの意見に耳を傾け、職場力向上の糸口を探っていきたい。
退職理由の1位は人間関係?
5人に1人がパワハラを受けた経験も
そもそも、職場でのコミュニケーションはどれだけ難しくなっているのだろうか。
日本労働組合総連合会(連合)が今年5月31日に発表した調査結果によると、仕事をやめたきっかけで一番多かったのは「職場での人間関係」で27.3%。「セクシャル・ハラスメント」を受けたことがあると回答した女性は16.8%に及んでいる。
一方、上司の立場を利用して部下に圧力をかける「パワー・ハラスメント」を受けたと回答しているのは男性の方が多く、24.4%。全体でも21.6%がパワハラを経験したとしている。
ちなみに、「働き続けるためには、どのような支援・環境が必要だと思いますか」の質問では、18~29歳の女性35.2%が「上司や同僚とのコミュニケーションがとりやすい職場の雰囲気」と回答した。30~39歳の女性が16.8%だったことを考えると、若年層ほどコミュニケーションを重視する傾向が強いようだ。
上記の調査結果からもわかるとおり、上司と部下の間には埋めがたい深い溝が存在している。それでは、具体的にどのような上司を「許せない」と感じているのだろうか。部下たちの本音を聞いてみたいと思う。