つまり、アメリカのファッションや文化を知り尽くしているといっていい。アメリカ人として土着しているから、アジア系移民でありながら一気に店舗を拡大できた。しかも国土が広大な米国では地域性も重要だ。

 ユニクロにしても、ニトリにしても日本や東南アジアで軌道に乗っているモデルで米国に進出したきらいは強い。中国など東南アジアでうまくいっているからといって、アングロサクソン文化圏でも同じようにうまくいくとは限らないのである。

 今回、ユニクロが自販機で販売するヒートテックにしても、ウルトラライトダウンにしても機能性が高く、日本などでヒットした商品だ。機能性よりもむしろ、ファッション性を好む米国人は多いし、黒人は、日本人から見ると、「こんなハッキリした色を買うのか」と思うくらい赤や黄色、グリーンなど原色を好む。果たして、米国のユニクロやニトリでは、そのあたりの地域的なニーズや嗜好性はうまく取り込んでやっているのだろうか。

 日本や東南アジアでいう地域性とは「気候の差」である。つまり、気候の差で売れる商品が違うことはある。その気候の寒暖差を見ても、寒い地方と比較的温暖な地方の差はあるものの、それほど極端な差であることは少ない。しかし、米国では地域によって気候の差はもっとハッキリしているし、流行のデザインなどを見ても地域性の違いが明確にあるのだ。

H&Mは
なぜ成功しているのか

 そのあたりをうまくとらえたH&Mはスウェーデンが母国でありながら、米国でも400店近くを展開し、ドイツ、中国、英国などでも数百店規模で多店舗展開している。

 小売業はやはり、ドメスティックな産業である。地域を知ることが重要なのである。

 今や、米国ではアマゾンの衣料品の売上高が来年には3兆円に達するというレポートまで出ている。

 ユニクロの競争相手は何も店舗を持つ、H&Mやギャップなどだけではない。見えない相手とも対峙しなければならない。これまで以上に米国をよく知って地域性を反映した商品を作らない限り、グローバルプレイヤーとして地位は遠のくばかりである。