(3)三つ目は純粋な日本企業ではないかもしれませんが、いわゆるプロフェッショナルファームや外国企業の日本支社です。投資ファンドや再生ファンド、コンサルティング会社、投資銀行、それに、グーグルやアマゾンなどの日本法人。こういう企業のプレゼンスや規模はこれからどんどん大きくなると思います。

 最近は一流大学の学生の中に、伝統的な日本企業よりこういった企業を好む人も増えているので、将来的には欧米的な経営思想の下で育てられた人が、日本企業で経営を担うケースも増えるんじゃないでしょうか。

 反対に、多様性が大事だからと女性や外国人を数合わせのように社外取締役にしたり、形だけガバナンスを整えたりしても旧態依然とした経営スタイルを残したままの企業が再成長し始めるとは思えません。

 そして最後が、(4)事業投資会社的な成長の求め方。これは日本企業の生き残り方として、平野さんの本でもとくに強調されていましたね。

事業投資会社という
日本の活路

平野 日本の企業は戦中戦後、国や冷戦体制下の米国のニーズに応えるため、供給力を最大化することで成長するという特殊な発展を遂げました。それには、株主還元をしなければならない投資家から出資を募る直接金融(エクィティ・ファイナンス)より、銀行から借り入れる間接金融(デット・ファイナンス)のほうが好都合でした。デット文化が強く根付いてきたのです。

 しかし伊賀さんも先程言ったように、今後は国内で大きな需要が見込めないので、海外に市場を求めるほかない。だから、競争力の源泉となるコアコンピタンスを見極めて、それから外れる機能や事業を整理すると共に、一方で溜め込んだキャッシュ、キャピタルを有効活用し、買収などで海外から収益を得る。その際に、自社のコアコンピタンスを買収先に注入することで価値を高める。反対に、買収先の人材やマネージメントモデルを自社に取り込んでいくことで経営のグローバル化や近代化を図る。こうして溜め込んだ資本の力を活かしながら、グローバル化と経営改革を進めていくというのも、これからの日本企業の一つの成功タイプになると思いますね。

『経営の針路』に書いた事業投資会社とはこのタイプのことで、そこではキャッシュというハードキャピタルと、コンピタンスというソフトなキャピタルをうまく組み合わせて、グローバル化を実現し、成長力を高めていくことを提言しています。その際に重要なのは、日本人の感性なり気質なりに支えらえた、日本企業に固有の経営体質の中から、真に競争力の源泉となるものを見極めて、それをキャピタル化することです。キャピタルとは資本ですから成長の源泉とするという意味で、キャピタルとならないものは逆にそぎ落としていくということです。そうしたソフトなキャピタルを海外企業に注入することも、日本文化のポータビリティ実現の一つの方策と言えます。