日本の不登校は12万人
死ぬくらいなら行かなくていい

 不登校の定義は「年間30日以上の欠席」だ。日本では約12万人の不登校児がいると言われている。しかし小幡は、「そこにはグラデーションがあって、行きたくないのに無理やり行かされていたり、教室に行かず保健室や図書室で過ごしたりする子どもも含めると、潜在的な不登校児はもっといるのでは」と見ている。

「9月1日、嫌なら学校に行かなくていい」元不登校の大学生社長が訴えるPhoto by Y.K

自身の経験から、そういった子どもたちと接する機会の多い小幡。その子たちを救おうと、クラウドファンディングを利用し、自身の体験を本にして出版する予定だ。学校に行かないという選択肢と、それに伴うメリットやデメリットを実体験から書き記すという。
 
 出版した本は書店で販売するのではなく、学校の図書館に置きたいと語る。これは「この本を一番届けたいのは、学校に居場所がないにもかかわらず、無理やり行かされている子どもたち」だからだ。

「そういう子の親が僕の本を購入するとは考えにくいし、そもそも学校に行きたくないというサインにも気づいていないかもしれない。インターネットも年齢的に扱えない可能性がある。だから、僕が教室に居場所がないときに過ごしていた図書館に置いてもらいたいんです」と語る。

 2015年に内閣府がまとめた「自殺対策白書」によると、夏休み明けの9月1日は18歳以下の自殺者数が極めて高く、他の日の2.6倍となっている。

 小幡は、「約1ヵ月の長期休暇で嫌なことを忘れていても、9月1日が近くにつれて憂鬱になっていく。このまま夏休みが続いてほしいと切に願っていたのでは」と、命を絶ってしまった子どもたちの心境を推察する。

 「僕は小学2年で、学校に行かないという道を選ぶことができたからよかったけれど、その願いがかなわなければ自殺を考えたかもしれない」

 そう語る小幡は、今では優秀な起業家、地域コンサルタントとして日本中を飛び回っている。端から見たら紆余曲折のあった人生かもしれないし、いわゆる親が「こうあってほしい」と望む人生のレールからは外れているかもしれない。しかし、彼の言葉や笑顔からは、「さまざまな経験があったからこそ、今がとても楽しい」という思いが伝わってくる。

 「学校が全てではないし、死ぬくらいなら行かなくていい」。そんな小幡のメッセージが、不登校に悩む多くの子どもたち、そして何よりそんな子どもたちの周りにいる親に届いてほしいと願うばかりだ。(敬称略)

(記事提供:Qreator Agent)