放射能という目に見えない恐怖は、お茶の間も直撃している。とりわけ一般人が大きな不安を抱くのが、体に直接摂り込む「食品」だ。「半減期が何百年」などという放射性物質が付着した食品を、万一食べてしまったら……。消費者の間には、そんな不安が蔓延しているのだ。

 そのため、政府が定めた暫定規制値を上回る放射性物質を含む食材が、相次いで出荷停止となっていることは周知の通りだ。7月には、放射性セシウムに汚染された牛肉が市場に出回っていたことがわかり、一時期騒動が落ち着いていた感のある「食の安全」への議論に、再び火がつく事態となった。

「高齢者世帯との明らかな温度差を感じますが、幼い子どもを抱える家庭としては、もはや何を信用していいのかわからない状況」と憤るのは、0歳児と2歳児を育てる30代夫婦。こうした声が圧倒的多数に上ることは、想像に難くない。

野菜、魚介類から乳製品、肉類まで
汚染はいつの間にここまで拡大したか?

 すでに新米の放射性セシウム検査は全国で着手されているが、今行政や食品業界にとっては、いかにしてこうした食卓の不安を排除するかが、至上命題にして急務となっている。

 実際、原発事故の発生からこれまでの間に基準値を超える放射性物質が検出された食品は、どれほどの数に上るのだろうか。報道されたものをざっと列挙して見ると、野菜類、魚介類、肉類、乳製品などが中心となっているようだ。

 これらはいずれも、原発から近距離にある自治体で生産されたものだが、検出例がごく一部しかないものも含めると、想像以上の広範囲に及んでいる。「毎日ニュースを注意深く見ていた」という人でも、改めてその数の多さに驚くのではなかろうか。

 まず野菜類では、サツマイモ、トマト、ニラ、ホウレンソウ、シイタケ、ブロッコリー、キャベツ、トウモロコシ、ナメコなど、頻繁に我々の食卓に上るものに加え、ミョウガ、春菊、シノブフユナ、パセリ、小松菜、山頭菜、かき菜、クチタチナ、アブラナ、紅菜苔など、聞き慣れない野菜からも検出されている。小麦、イチジク、リンゴ、ブドウ、ナシなど、穀物や果実類も例外ではない。