パッと見でわかるダメな建物

 まずは外観形状のチェック。ポイントは「明らかに構造的バランスの悪い建物ではないか」ということ。ありがちな事例を5つあげる。

1. 上下階のバランスが悪い
  1階に比べて2階部分が大きすぎる「頭でっかち」な建物。安定性に欠け、耐震性の観点で懸念が拭えない。


2. 開口部が大きく、壁量が少ない

  陽あたりの確保や開放感を得るために窓などの開口部を大きくとり、壁の量が足りない、壁の配置バランスが悪いケース。壁には耐震性をもたせる役割がある。特に建物の四隅には壁がほしいが、コーナー出窓を設置するなどでバランスを崩している建物を見受ける。

3. 凹凸の多い建物
  建物は、直方体などシンプルな形が一番安定している。しかし、建築主の要望やデザインなどを優先させた結果、凹凸の多い建物ができてしまうことが。耐震性能という観点から、過度に凹凸の多い建物は好ましくはない。

4. 大きな吹き抜けがある建物
  リビングなどの天井を2階まで抜いて、吹き抜けを設けているケース。開放感があるほか、採光や風通しも良く心地良いが、やはり建物の剛性の面から懸念が残る。

5. 上下階の壁の位置がずれている建物
  1階と2階の壁の位置がずれている場合、梁などの主要構造部に無理な力がかかっている可能性がある。

 これらのポイントは、だからといって直ちにダメだということではない。しっかりと構造設計上のチェックが行われ、かつその通り施工されていれば特に問題はない。あくまで外観チェックの目安として覚えておき、判断に迷うようなときは、ホームインスペクター(住宅診断士)などの専門家に相談しよう。