不調の原因の9割は「血糖値」である
――人体のメカニズムにそった正しい食事とは?

「いやいや、俺は毎日ハイオク並みのものを口にしているよ」

 こんな自信に満ちた反論も聞こえてきそうです。いまは、健康と食事の関わりについて考える人も増えており、知的なビジネスパーソンであれば、「○○が体にいいらしい」などという情報にも敏感に対応していることでしょう。

 しかし、そこには大きな落とし穴があります。

 みなさん、「○○がいい」「○○は悪い」とその「成分」にばかり着目していますが、実はそれよりもはるかに重要なことがあります。

 人間の体には「消化・吸収のシステム」が備わっています。それによって口から食べたものが消化され、「形を変えた栄養素」になり、必要に応じて吸収されていきます。

 この「形を変えた」というところが大事で、食べたものはそのまま肉体の一部になるわけではなく、代謝の過程で構成を変え、さまざまな物質へと合成されていきます。

 こうした仕組みを理解する学問を「生化学」と言います。生化学は生命現象、いわば人体のメカニズムを究明するものです。詳しくは新刊『医者が教える食事術 最強の教科書』で解説していますが、人間は昔から変わらない消化・吸収のシステムを持ち、それをコントロールしているのが「脳の指令」です。こうしたメカニズムから逸脱する食事法というのは本来あり得ません。

 しかし世の中には、多くの“あり得ない”食事法が次から次へと登場しています。

 私は、多くの医者が嫌がる「亀の甲」と呼ばれる化学式だらけの生化学を深く学び、食べ物を消化・吸収する過程において人間の体にどんな反応が起きるかを熟知しています。そんな私から見ると、絶対に口にしてはならないものが現代社会には溢れています。

『医者が教える食事術 最強の教科書』でもたびたび取り上げますが、缶コーヒーやジュースといった「咀嚼を必要としない糖質」などは、その典型です。しかし、多くのビジネスパーソンが、毎日それらをせっせと吸収しているのです。

・じわじわと増えてきた体重が落ちない
・血圧が高いと指摘された
・疲れやすい
・仕事中に眠くなってしまう
・集中力が続かない

 あなたも、いろいろな不調を抱えていることでしょう。実は、そうしたことの根本原因は、「血糖値」にあります。

 詳しくは『医者が教える食事術 最強の教科書』で説明しますが、ビジネスパーソンを悩ませる病気や不調の9割以上は血糖値の問題です。血糖値が高いこと、あるいは急激な上昇下降を繰り返すことが、私たちの体に想像以上のダメージを与えます。

 そして、それは現代人ならではの「食事様式」が生み出しています。よく「バランスのいい食事をとりなさい」などと指導されますが、いったい何をもってバランスのいい食事なのか、ほとんどの人が理解できていません。「いいつもり」でやっていることが、「太る→老ける→病む」という流れをつくってしまっているのです。