「各自治体が凝ったPR動画をつくり出したのは2013~14年くらいからで、その火付け役となったのは大分県です。いまも『シンフロ部』のシリーズが話題ですが、13年から立ち上がった『おんせん県おおいた』の一連のシリーズや、高知県が広末涼子を起用して作成した『高知家』というPR動画も話題になりました。このくらいの時期が、自治体プロモーションの目先がゆるキャラからPR動画に移った潮目の時期といえます」

 こう語るのは、CM戦略アナリスト・マーケティングディレクターにして、秀逸な地方CMと地方PR動画を紹介するサイト『ぐろーかるCM研究所』所長の鷹野義昭氏。自治体にとっても、こうした動画を制作するメリットは多いという。

「メリットとしては、まずテレビCMのように広告媒体費がかからないこと。それどころか申請が通れば、国からの助成金も受けられます。15年に総務省が移住促進のためのプロモーション動画制作の助成金を打ち出したのですが、最大500万円の助成金が国から地方自治体に交付されました。『まちのムービーをつくるなんて、県単位くらい大きくないと予算確保ができない』と思っていた市町村が大きく動き出した瞬間です」(同)

配信開始以降、経済効果は
3億円を超えた広島県呉市

 地方自治体がプロモーション動画を制作するメリットは、まだほかにもある。

 PR動画はネットで流すので、一般的なテレビCMのようなテレビ局側の厳しい規制がなく、15秒、30秒といった尺の制約もないので、地域特色のメッセージを自由に、より多く盛り込める。テレビ局に頼る必要があった一昔前と違い、今ではYouTubeのような全国はもちろん、全世界に向けて動画を配信できるプラットフォームが既に整備されている。

 さらに、一度制作してしまえば「ゆるキャラ」のように、その後の維持費はほとんどかからないといった点もメリットだ。

 実際にオリジナル動画を制作し、話題を呼ぶことに成功した自治体にも話を聞いてみた。先に触れた『SADOMETAL』を制作した新潟県佐渡島は、今年3月末の配信開始以降、観光客がかなり増えたという。