「自分は忙しい上司を煩わさないように頑張っているのに、どうして遠慮なしにしょっちゅう相談に行って上司の仕事を中断させる同僚の方が気に入られるのかわからない」――そんな思いに駆られたことはないだろうか。
実は、そのように思ったことがあるという人が意外に多いようだ。
小規模な商事会社の経理部で働いている20代の男性Aさんは、わりと人のことを気遣うタイプで、「仕事上よくわからないことが出てきて上司に相談したい」と思っても、上司が忙しそうにしていると、声をかけるタイミングがなかなかつかめない。「人員不足で誰もが忙しくしているし、煩わせてはいけない」という思いが強く、つい上司に相談しそびれてしまうことがよくあるという。
それでも、何とか自分なりに解決して仕事を進めているので、決してお荷物社員にはなっていないという自負はあるそうだ。
でも、Aさんは「どうも納得のいかないことがあって気持ちがスッキリしない」と言う。それは、上司が自分よりもBさんを気に入っているのがあからさまにわかるからだ。Bさんというのは、Aさんとほぼ同年配の同僚なのだが、人に対する気遣いがなく、上司がどんなに忙しくしていても、遠慮なしに何かと相談して上司の仕事を中断させる。そんなことまで自分で判断できないのかと、傍から見ていて呆れることも多い。Aさんからすれば、図々しいだけのお荷物社員だ。
実際に上司も、「なんだ、そんなことも自分で判断できないのか。困ったやつだな」と呆れ顔で応じているのだが、どうも和気あいあいとした雰囲気が漂っている。
Aさん自身は、よくわからないことがあったり、判断に悩むことがあったりしても、電話で取引先や他の部署とひっきりなしにやりとりしたり、会議や打ち合わせのためにしょっちゅう席を外す上司を見ていると、自分のことで煩わせてはいけないと思い、資料を調べたり、先輩に聞いたり、ネットで調べたりして、どうにか自力で仕事を進めている。そのことを上司も評価してくれているものと思っていた。