拙著、『知性を磨く』(光文社新書)では、21世紀には、「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」という7つのレベルの知性を垂直統合した人材が、「21世紀の変革リーダー」として活躍することを述べた。この第31回の講義では、「技術」に焦点を当て、拙著、『意思決定 12の心得』(PHP文庫)において述べたテーマを取り上げよう。
正念場の意思決定
今回の連載では、「意思決定」の力を身につけるために必要な「直観力」「説得力」「責任力」という「3つの能力」について述べてきたが、この最終回では、「なぜ、リーダーは『決断』によって成長するのか」というテーマで述べよう。
1979年のプロ野球日本シリーズでのこと。このシリーズは、セ・リーグを制した広島とパ・リーグを制した近鉄との戦いであったが、文字通り「歴史に残る日本シリーズ」となった。年配の読者の記憶には残っていると思うが、伝説的な「江夏の21球」のエピソードで知られる最終第7戦でのことである。