

オラクルの共同創業者であり、73歳になった今でも同社の技術面をリードするラリー・エリソン会長兼CTO(最高技術責任者)は、OOWの“顔”として、例年その発表内容が注目されている。
今年エリソンCTOは、初日の基調講演で、オラクルの主力製品であるデータベースソフトウェアの新バージョン「Oracle Autonomous Database Cloud(オラクル・オートノマス・データベース・クラウド)」を発表した。特徴は「人手不要」だ。企業ITの根幹を支えると言ってもいい重要基盤であるデータベースだが、来年リリースが予定されている新製品では、技術者がいったん設定して起動すれば、あとはシステムが自動的に調整しながら運用してくれるという世界初の機能を搭載する。
データベースの通常の運用監視やセキュリティアップデートの適用、容量が不足した際の拡張、さらに万一障害があった際の自動修復などが、すべて自動的に行われる。いわゆる「システムメンテナンス」という人手がかかる作業が、データベースの部分では不要になり、大幅なコストダウンになる。加えてサービスの停止がなくなるので、顧客サービスが大きく向上する。
「人的コストの削減になるだけでなく、ヒューマンエラーも防ぐことができる」(エリソンCTO)。
結果的に、データベースの可用性(止まらずに連続して稼働する能力)は飛躍的に向上するという。
自律型データのダウンタイムは、「年間30分以下」とエリソン氏は説明した。一見、よい数値には思えない。しかし、従来の可用性の計算には裏があり、そもそもメンテナンスやセキュリティ更新など「予定された停止時間」は計算に入っていない。「これまでは、“動いている間のダウンタイム”が比較されてきた。我々は、本当の停止時間を語っている」(エリソンCTO)。