しかし、いざ2月のキャンプに入り、ペンシルバニアからの荷物を開梱したところ、届いたユニホームは、それはそれは無残なもので(笑)。長い間船積みされ折り目がついてしまって、背番号と名前が波打っていたり、縫製されている糸がはみ出ていたり。外国人選手は、多少雑でもあまり気にしないようなのです。

 また、米国ではユニホームが縮まないように乾燥機は回さないようなのですが、日本は乾燥機をすごく回すので、どんどん短くなり、キツくなってしまった。国内メーカーのユニホームは、乾燥機にかけても縮まないようにできています。

 ということで、選手から大変不興を買ってしまい、とてもこんなユニホームでは続けられないという事態になりました。やはり、日本の選手には、日本の生地で、縫製で、パターンで、そして日本の技術じゃないと、とても満足いただけない。急遽、全部を日本で作り直しました。

 本国からも、日本のやり方でやればいいという許可がすぐ出たので、2月にキャンプで問題が起こってから、6月までにはすべて日本製のユニホームに入れ替えることができました。もちろん、コストは倍かかりましたね。

 われわれが現在作っているユニホームにメジャーのノウハウは1つも入っていない。すべて日本の工場で製造しています。

――本国からの意向を組む必要はないのですか。

 まったくない。まず日本では、各球団の契約が違うけど、MLBは30球団すべて同じ。米国は合理的な国なので、何か1つに統一したがるけど、日本でそういうことを突き詰め始めると、契約を勝ち取れません。いい意味でも悪い意味でも伝統があるし、それに合わせてお付き合いしなければいけないので、米国のやり方をゴリ押しすると、ビジネスできない。よく「ベースボールではなくて野球です」といわれるのと同じです。

――昨シーズンから、プロ野球の祭典・オールスターゲームのユニホームも手がけています。

 今年はホスト球団がセ・リーグは中日、パ・リーグがロッテだったので、セ・リーグのユニホームは中日、パ・リーグのユニホームはロッテのデザインを真似たものにしてみました。日本ハム所属の大谷翔平選手がロッテ、巨人所属の坂本勇人選手が中日のユニホームを着ているかのように見える。そういうの、楽しくないですか。球宴ってお祭りだから。そういう取り組みをもっとやっていきたい。

 MLBのオールスターはそうなんです。遊び心がある米国の良い所を、もっと日本に取り入れていきたいですね。