◆サプリと健康食品
◇がんをめぐるニセ科学

 がんの標準治療には、手術・薬物療法・放射線治療の3つがある。標準治療以外の療法は、科学的に有効性が確認されていないため、標準治療を受けることが最もよい選択と考えられる。もし標準治療でない療法に、標準治療をしのぐ効果があるのなら、すでに標準治療の仲間入りをしているはずだ。

 たとえば、一般的に売られている「抗がんサプリ」は、当然ながらどれも標準治療とは見なされていない。有名な抗がんサプリとして、きのこの一種であるアガリクスが挙げられるが、実際にはがんに効くどころか、肝機能障害の原因物質としてウコンに次いで被害が多い。それどころか、動物実験ではアガリクス製品には発がん促進効果が認められているという。

 アガリクスについては、がん患者の体験談をすべてでっちあげた書籍を販売したとして、逮捕者が出ている。同様に、ただの水を「いき水」と称し、がん予防になると喧伝して商売をした人や、がん細胞を死滅させるとうたった「CBプロポリス」の販売に携わった人も逮捕されている。

◇サプリや健康食品はそもそも医薬品ではない

 サプリや健康食品(保健機能食品を含む)は、法的にはあくまで食品であり、医薬品ではない。「これは個人の感想です」と注記されているのも、医薬品のような効果をうたうと違法になってしまうからである。

 ところで、「○○で病気が治る」という本が書店で数多く売られていることにお気づきではないだろうか。こうした本は、じつは健康食品や健康法の宣伝が目的であり、「バイブル本」と言われている。実質的には、法律の規制をくぐり抜けた広告のようなものだ。

 バイブル本の定番的な特徴は、(1)万能性のアピール、(2)「治った」という体験談、(3)医学博士などのお墨付きである。だが、体験談はゴーストライターの捏造であることが多く、用いられているデータの信頼性も低い。

◆ダイエットと食事
◇毎月のように新しいダイエット法が生まれる理由

 ダイエットに関しても、様々なサプリが市販されているが、飲むだけでやせるサプリは存在しない。そもそも摂取カロリーが消費カロリーより高ければ、やせることは不可能だ。

 世の中は、「○○ダイエット」であふれている。だが、毎月のように新しいダイエット法が提案されるということは、大半の方法が消えていっていることを意味している。お手軽に効くダイエット法はなかなかないのだ。

 肥満解消のためにダイエットをするなら、脂肪細胞を小さくしなければならない。しかし、脂肪細胞はもんでもたたいても減らせるものではないし、運動だけでも効果は薄い。かといって、食事の制限だけでダイエットしようとすると、今度はリバウンドが起きやすくなってしまう。結局のところ重要なのは、適度な運動をして筋肉を減らさないようにしながら、食事量をコントロールすることに尽きる。

 なお、厚労省の12年間に及ぶ追跡調査によると、BMI(ボディマス指数)で比較した場合、もっとも長生きなのは「太り気味」の人だった。とくに男性の場合、「普通」の人と比べると2年長生きである。一方、もっとも短命なのは「やせ」の人で、「普通」の人と比べると、男性で5年、女性で6年も短命であった。健康状態に問題がなければ、無理してダイエットをする必要はないのかもしれない。