低迷が続く住宅業界。リフォームやスマートハウス、中古住宅事業など厳しい競争に勝ち抜くための重点戦略を聞いた。
──東日本大震災後の市場環境はどうか。
今期の引渡戸数は約9600棟を見込んでいる。前期比で800棟ほどのプラスだ。理由の一つは、震災後に工事が止まり、引き渡しが4月にずれ込んだこと。終了した住宅エコポイントや、長期固定金利型住宅ローン「フラット35S」が、条件は変わったが復活が決まったことも、朗報だ。
また、建て替えやリフォームを検討するお客様が増えている。
いずれは建て替えようと思っていた人が、震災を機に早めるといったケースのほか、耐震構造などへの関心も高い。耐震診断の依頼は、昨年の2倍以上に増えた。西日本ではこの傾向は見られないが、東日本、特に東京や神奈川、千葉、茨城など首都圏とその近郊エリアでは顕著だ。
家族の絆への思いが強まっているのか、2世帯住宅を建てたいというニーズも増えている。
──太陽光発電や蓄電池などの技術を駆使してエネルギーの需給バランスを管理する「スマートハウス」も震災後、注目されている。
スマートハウス市場は2009年に1.5兆円だったが、20年には18兆円に増えると見られている。家庭用蓄電池の開発も盛り上がるなど、震災によって市場拡大に拍車がかかったと感じている。
当社は現在、トヨタホームと共同で、スマートハウスに欠かせないHEMS(ホームエネルギー・マネジメントシステム)の開発などを行っており、今期中には商品化のメドをつけたいと考えている。