オラクルが、米国本社の敷地内に、学費無料の公立高校を建設している。そこでは先端的なテクノロジーや、デザインシンキングについての授業が行われる予定だ。技術系企業の敷地内に設置される公立の高校は世界初だという。なぜ、オラクルが高校を建てたのか。そのプロジェクトの中心となったオラクルの教育基金「Oracle Education Foundation」(OEF)の責任者であるコーリーン・キャシティ(Collen Cassity)エグゼクティブ・ディレクターに話を聞いた。
オラクルが積極的に取り組む
若者のテック教育
オラクルの教育支援活動にはいくつものプログラムが関係している。まず高等教育の支援を中心とした教育プログラムの「Oracle Academy」は、すでに120ヵ国に対して毎年330万人の受講者を抱えている。またボランティア活動の団体である「オラクル・ボランティア」(Oracle Volunteer)、寄付を行う「オラクル・ギビング」(Oracle Giving)などさまざまな形で教育支援に積極的に取り組む。そして、高校生などへの教育支援はOEFが中心となる。共通しているのは、次世代を担う学生へのテクノロジー教育の支援活動である点である。
OEFは2000年に発足していたが、2014年5月に新プログラムがスタートして活動が大きく活性化したという。このプログラムは、オラクルの社員がボランティアとして高校生向けにコーディングや電気設計、ユーザー視点のデザインを教えるものだ。
この授業は、サンフランシスコの公立高校で活動していた「デザインテック・ハイスクール」(d.tech)とオラクルの協業によって実現した。d.techのエグゼクティブディレクター兼創立者であるケン・モンゴメリー(Ken Montgomery)氏を中心とした4人の中心メンバーからキャシティ氏が話を聞くうち、彼らの教育思想と実施されているプログラムが非常に優れていることを知ったという。
「d.techでは、オラクルの社員がボランティアとしてプログラムに参加しています。第一線で働く現役の技術者が講師を務めるのが特徴です」(キャシティ氏)