1ヵ月先のスケジュールを見て
今食べるものを決める

 松本さんは、ご自身でも工夫を重ね、今では1週間くらいなら体重をとり戻せるノウハウを得たそうです。ただ、時には2ヶ月も続く出張があり、疲労がかなり蓄積されることも。そんな時に最優先するのは睡眠だと言います。

「疲労感は食事やお酒でとるものではなく、まずはしっかり良質の睡眠をとってリセットすることが大事。仕事の準備は前夜から始まっているわけだから」。そう話す松本さんは、労をねぎらう目先の楽しみよりも、健康や体調維持を優先しています。

「1ヶ月の予定を俯瞰して見る」というのが松本さん流のテクニックです。スケジュールを見て、この辺りで疲れが出るだろうからここで〇〇をしよう、ここで睡眠時間をしっかり確保しよう、という具合に事前に対策を打っておくそうです。

「年に300日出張」の生活を支えるスケジュール先読み食事術松本さんのある日の昼食。行きつけのカフェにて

 そんな松本さんの手にかかると、揚げ物も、調整のための食事として機能します。

「専門家に言わせたら揚げ物は食べないほうがいいのかもしれないけど、自分のリズムでやることが大事。サブのおかずで野菜も色々摂れるお店を選べば良い。疲労は脳が決めているのだから、自分の実感として体が元気になった感じになればいい。そうすると、安心して眠れる」

 また、日頃からスムージーやコールドプレスジュースなどを活用しているそうです。 まだ体の変化を感じない20代や30代前半だと、そうしたものは高いと抵抗感を感じる人も多いように思いますが…

「スムージーやコールドプレスジュースなどは、紙パックの野菜ジュースと比べると高いかもしれない。でも、500円のビールジョッキを2杯飲んだら1000円になる。自分の体に害を及ぼすものにお金をかけて、リカバリーにお金をかけないのはダメ。“健康的な食事の徹底”はハードルが高いから、“体に良いものに投資しよう”と考えればいい」

 松本さんの話を聞いていて、目先のことではなく長い目で健康を考えるところと、自分の目線を持っているところは経営者ならではの視点だと感じました。

 ○○が良い、○○はダメ、という健康情報は巷にあふれていますが、試してみても「良し悪しや変化がわからない」と言う人がほとんどです。疲れが溜まると、ちょっとした変化にも気が付きにくくなりますから、日頃から情報で判断するのではなく、自身の状況で判断する感覚を忘れないようにすることも非常に大切ですね。

 ダイエットのやり方と自分の性格の相性を考えることも重要です。松本さんのコーチングをしている間、「見たくない数値を見るとモチベーションが下がる」という理由で体脂肪率の計測を拒否されました。また、ダイエットの王道の方法である毎日の体重測定も「変化に神経質になってしまうから」と週に1、2度しかしていませんでした。それでも、松本さんは太っていたわけではない体を半年で8kgも絞り、「体と脳のキレを感じるようになった」と言うのです。

 ダイエットの王道と言われるやり方でさえ、向き不向きがあるのですから、自分に合ったやり方でないとリバウンドするのも当然です。変化が感じられたり、無理のない方法で、続けやすいダイエット方法を探すのが一番です。

(栄養士・食事カウンセラー 笠井奈津子)