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ポスト・ビッグデータ時代の経営

製造業における
ビッグデータ活用の盲点と対策(1)

KPMGコンサルティング
【第2回】 2017年11月10日
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 製品を開発する際は、ミクロン単位での部品の組み合わせや接合、素材間の相性、過酷な環境下での耐久性、大量生産する際の生産技術等、様々なところに品質を脅かすリスクが至る所に潜在しています。素材、部品、ユニット、システムレベルで品質チェック項目は複雑に結合され、膨大なチェックが必要となります。

 また、製品特性を踏まえて、重点的なチェックが必要となるポイントも発生します。しかし市場への製品投入タイミングは経営レベルの意思決定であり、大量の品質チェックが必要だからといってそこだけに時間をかけるわけにはいきません。熟練の技術者は過去の経験から効率的な検査方法、設計特性に応じた潜在的な品質リスクを熟知しています。

 筆者の経験では、Excel等で検査項目を定義している企業もありますが、深い技術レベルを要するケースでは、検査項目として明確に定義することは非常に困難であり、熟練者の経験に頼るケースが多いと言えます。それ故に、熟練者の経験は、企業の英知として位置づけられ、経営上の意思決定に沿ったスピードでの製品開発、技術的に深いレベルの品質を担保するにあたって、それが不可欠となっています。

 なかでも、製造業の大手企業では、自工程完結という考え方が浸透していて、次の工程に品質不具合を持ち込まないということが大前提です。工程完了基準作成にあたって、大部屋で多数の熟練者が議論を交わす風景も一般的です。

 しかし、経験に頼った判断をしているということは、仮に担当者の経験範囲外のところに重要な欠陥があった場合、それは潜在的な不具合としてそのまま製造ラインに不具合が潜り込んでしまう可能性があります。市場に出回った後の製品不具合の発生は、企業にとって死活問題であることは言うまでもありません。

 また、市場に出る前の最終テストの段階で品質面の問題を検知したとしても、大きな手戻り工数が発生し、開発の遅延により、市場投入のタイミングを逸してしまうことも考えられ、経営戦略への影響は必至です。(図4)

出典:KPMGコンサルティング
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