大人のADHDで問題となる注意力・集中力の欠如

 多動や衝動性、不注意などADHDの症状が発現するのは3~4歳ごろからです。不注意が目立つ人(不注意優勢型)、多動性・衝動性が目立つ人(多動-衝動優勢型)など、症状は人それぞれ異なり、年代や状況によっても変化します。

 児童期にADHDと診断を受ける子どもの多くは、「席に座っていられない」「他の生徒に手を出す」といった多動・衝動性による問題行動が見られるケースが大部分です。思春期以降、これらの症状は改善することもありますが、逆に睡眠障害が悪化して、朝起きられず遅刻する人も出てきます。「提出物を出すのを忘れる」「勉強に集中できない」という学業上の問題が生じやすく、ADHDの人は中退、退学、留年などの割合が高いとの報告もあります。

 成人期になると、もじもじ体の一部を動かしたり、過度におしゃべりしたりするといった症状は残るものの行動面における多動は目立たなくなります。その半面、「雑念が多い」「不安定でイライラしやすい」といった内面の多動は継続する傾向があります。

 衝動性の主な症状としては「思ったことをすぐ口に出す」「短気で怒りやすい」などです。また、アルコール、薬物、ギャンブル、買い物への依存、過食やリストカットといった衝動的な行動も起こしやすい傾向にあります。海外ではADHDの人が離婚率や離職率が高いとの報告もあり、さらにスピード違反や交通違反など運転上の問題が多いとのデータもあります。

 成人期のADHDで多くの人にとって顕著かつ問題となるのが、注意・集中力の障害です。注意を持続させたり、同時に複数の行動に注意を払ったり、注意を切り替えたりすることが苦手で、集中力も散漫です。「片付けが苦手」「約束を守れない」「置き忘れが多い」といった症状が見られ、職場では「スケジュール管理が苦手」「段取りがヘタで、問題を先延ばしする」「仕事が遅い」「ケアレスミスが多い」などマイナスの評価を受けやすくなります。

 また、ADHD特有の症状は対人関係にも影を落とすこともあります。ADHD の人は元来人なつっこいのが特徴ですが、一方的な発言や約束を忘れるなどのミスを重ねて、安定した関係を続けられないことがしばしばです。