――蜷川さんが経営している二十一世紀書院では、民族派活動家の野村秋介氏の書籍を出版・販売し続けています。野村氏の何を今この時代に伝えたいのでしょうか。

 野村は「日本の戦後は、日米安保の元に築かれた奴隷の平和と魂のない繁栄だ」「今の日本の経済力は砂上の楼閣で、いつ崩れるかわからない。早く目を覚まさないと必ず日本の精神性は滅びる」と、よく言っていました。そして「俺は戦前戦中戦後の日本を見た。日本の明日はもう見たくない」と言い残し、1993年に朝日新聞東京本社で拳銃自殺しました。

 例えば「万死に値する」という言葉を使う人がいる。つまり1万回死ぬに値すると。ならば1回でも死んだことがあるのか。政治家が簡単にそんな言葉を使うが、言葉はそんなに軽いものではあってはならないと野村は示して見せた。民族派運動は、死んだ友に背かず声を伝えていくことにあります。

 今の日本の繁栄があるのは先の大戦で亡くなった方々のご苦労があるから。それに三島や野村が何のために死んだのか、僕らが伝えていく意味はあると思っています。出版社としての経営は全然ダメですが(笑)、野村の生き様を多くの人に知ってもらう運動として出版を継続したい。

日本人は意識せずとも
皇室と一体となって生活している

――民族派の生き様とは何ですか。

 嫌な言葉ですが、テロを担保し留保しつつも運動するのが民族派の原点だと思っています。暴力がいけないというのは、三つ子だって分かる。しかし、今の日本の平和と繁栄があるのは幕末期におびただしいい血が流れ、明治維新が成し遂げられたから。時代の変革期にはどうしてもそういうことが必要だったりする。

――愛国心とは何だと思いますか。

 愛国心ってそんなに声高に強調するべきものではないと思う。戦前みたいに、電車の窓から皇居が見えたら敬礼させるというのには、僕は賛成できない。愛国心は消えたら困りますけど、日本人のように生活や文化に根ざした愛国心は絶対に消えないと思います。

 例えば、女の子が生まれたら多くの家庭で雛人形を飾ります。この雛人形は、天皇皇后様を模したお飾りです。あるいは昭和何年生まれという言い方は、昭和天皇が御即位されて何年目に生まれたという意味。日本人は意識せずとも皇室と一体となって生活しているんだと思います。