近年、“愛国”を商材としたビジネスが流行している。書店の棚にはセンセーショナルなタイトルの“嫌韓・嫌中”本が並び、少し前に話題となった森友学園(塚本幼稚園)は、園児たちに熱心な愛国教育をしていた。一体どういう背景があって、愛国に日本人の需要が集まるようになったのか。専門家に話を聞きながらその歴史をたどってみた。(岡田光雄/清談社)

嫌韓本や中国脅威本の売上げをみれば
愛国市場の盛り上がりが分かる

嫌中・嫌韓をカネに、「愛国ビジネス」はなぜ盛り上がったのか今やテレビには愛国番組が溢れ、”ヘイト本”がベストセラーとなる時代に。リベラルの失墜や、中国・韓国の反日運動激化などが、愛国ビジネスを加速させた。(写真はイメージです)

 愛国ビジネスとは、その名の通り国民のナショナリズムをあおり、消費行動につなげていくビジネスモデルのこと。

 この言葉を聞いて、まず思い浮かべるのがお隣・韓国の状況だろう。今年はそれほど激しくはないようだが、過去には太平洋戦争が終結し、日本統治から解放された1945年8月15日を祝して、韓国産コーラ「815コーラ」が販売されたり、1919年の独立運動記念日である3月1日(三一節)には、デパートやスーパーで安売りイベントを開催していたこともある。

 中国でも昨年、運営内のトラブルでAKBグループから離脱した「SNH48」が、今や中国の愛国歌をカバーするなど、プロパガンダ・グループに成り下がってしまったと嘆く日本人のファンもいる。

 では、日本における愛国ビジネスの実情はどうだろうか。マーケティング・コンサルタントの大西宏氏(ビジネスラボ代表取締役)がこう解説する。

「今や日本でも嫌韓・嫌中サイトで広告収入を得たり、保守系番組『そこまで言って委員会NP』が高視聴率を獲得するなど、“愛国”をビジネスとする市場が広がってきました。森友学園も保守派の父兄を対象にした子育てビジネスといえるでしょう。愛国ビジネスに明確な定義はありませんが、近年の嫌韓本や中国脅威本の書籍売上げをみれば、その市場規模の大きさは分かると思います」